作品と林業のかかわりについて話す三浦氏
作品と林業のかかわりについて話す三浦氏

直木賞作家の三浦しをん氏が先月12日、三田キャンパスで、福澤記念育林会主催の「森を愛する人々の集い」で講演した。三浦氏の林業をテーマにした著作『神去なあなあ日常』は、今年度の本屋大賞で4位となった。
 本講演では三浦氏と、財団法人福澤記念育林会常任理事である速水亨氏が、「今、林業がすてき」と題して対談した。
 三浦氏は『神去なあなあ日常』を書くにあたって、尾鷲や松坂など、三重県の山林まで取材に行っている。その時のことを「想像していたより山の斜面がずっときつかったのに驚きました。前を歩く人の踵が自分の鼻先にあるくらい」と振り返った。
 ヒルに咬まれて血を吸われたといったユーモラスなエピソードなども披露し、会場の笑いを誘った。このような出来事はすべて、著作に講演会の最後には、林業という仕事について、「自分が手入れしている木を、自分が死んだ後も誰かが世話してくれると信じて、毎日地道な作業をする。目先の利益にとらわれていないところが格好いい」と語った。
 この考え方は『神去なあなあ日常』に度々出てくる「なあなあ」という言葉にも関係している。「『なあなあ』は私の考えたうその方言で、『ゆっくり行こう』といった意味。山で働く人は、大変なことがあっても、そんなこともあるさ、とのんびり構えている。そういうところがいいですよね」と林業の魅力を語った。
 講演会を主催した福澤記念育林会は志木高等学校・幼稚舎の学生・生徒の森林体験学習の支援、森林に関する研究・森林での活動などの支援、森林をテーマとしたシンポジウムなどの開催を行っている。
反映されているという。