最近欲しい物が多いのですが、恥ずかしながらお金もないし、バイトもしたくない。遊んで暮らしたいのです。どうにかして下さい。    (商1男)  *      *   *
いや、知らんがな。バイトしろ!甘えんぼちゃんよ。所員O(商2男)は怒りで奮えた。しかし、働きたくないのも事実…。どう解決してさしあげようか。
とりあえず事務所で相談でもしてみるか。扉を開けると、そこにはジャガイモがひとつ。「なんだジャガイモか…。いやTじゃん!」ジャガイモ似の所員T(法2男)が暇そうにカップラーメンをすすっていた。醜い男だが、まあ許そう。所員Tは稀代のぐうたら人間として我が事務所で有名なのだ。ヒントをくれるに違いない。
「…という経緯なんだけど、なんかない?」「彼女欲しい!」「俺も!戸田恵梨香みたいなスレンダーで、ちょっと意地悪そうな子さいこー」と小一時間どうしようもない話で盛り上がってしまった。ペースに巻き込まれたらあかん。
「いやいや、真面目になんかない?」「んー、物々交換は?わらしべ長者めざせよ」それならバイトはせずに済むかも!さすがTだ!というわけで、我らはキャンパスに繰り出したのだ。
野次馬感覚で所員U(法2男)も着いてきた。OもTもUも、メガネの負け組男子。こうなったら女にモテる、おしゃれグラサンでも手に入れよう!ちなみにわらしべ長者とは、価値の無い物を心優しき貴人に次々に交換してもらって価値ある物を手に入れるという醜い貧者の遊びでござる。
まずは我らが塾生新聞をわきに抱え、手ごろなカップルから攻めてみた。「何かと交換してください!」「嫌です」。心が折れそうだ。おしゃれグラサンへの道は長い。
まぬけな一行は冷たい視線に耐えながらも地道に交換を続けた。煙草(モテない)、ウコンの力(飲み会でモテるかな…)、カロリーメイト(健康的イケメン!)と着実に他力でモテ男に近づく。
ついに傘、それもビニールではない傘を手に入れたちょうどその時、天の導きか雨が降り始めた。神様も粋な方だ…。
よし、あの青年で最後だ!「この傘と何か、交換してください!」「ちょうど傘欲しかったんですよ。これで良ければどうぞ」手には整髪用ワックスが。グラサンじゃないけど、これはモテアイテムと断言してよかろう。これで働かずして戸田恵梨香も夢じゃねえわけだ!喜ぶ所員O(坊主頭)とメガネの負け組男子たちであった。
あなたも貴人の多き慶應でわらしべ長者を目指してみてはいかがか。
(トッティ)