金融・保険への人気変わらず

学生部の就職・進路担当によると、昨年度の慶大学部卒業者・大学院修了者(医学部・医学研究科、博士課程および通信教育課程を除く)の就職率は64・9%、大学院・学部進学率は21・1%となった。一昨年度と比べると、就職率は約4%減少、進学率は約1%増加という結果。金融・保険系企業への人気傾向が見られた(データは3月31日現在のもの)。                 (陶川紗貴子)

昨年度の就職者数は4750人で、一昨年度から426人減少した。業種別で見ると、製造業が1062人、金融・保険業が1073人で、共に一昨年度比約1~2%の減少となっている。一方電力・ガスなどの内需関係業は99人で、一昨年度の約1・5倍に増加した。
 また、学部卒業生の就職先企業上位20社=表参照=を見ると、上位4社は一昨年度と同じ顔ぶれで、順位が入れ替わっているのみである。就職者数は減ったものの金融・保険系企業が多く上位に入っており、保険系の企業数は1社増加。メーカー系の企業数が減少した。
 就職・進路担当の佐藤吾郎氏は、昨年度の就職状況について「やはりリーマンショックをはじめとする景気後退が影響したと考えられる。リクルートのデータでも、大卒の有効求人倍率は一昨年度が2・14倍、昨年度が1・62倍と下がっている。塾生もこういった影響を受けたが、厳しい現状でも頑張っている印象を受けた」と話す。
 就職・進路担当では現在、塾生の就職活動を支援するため、学内ガイダンスや個別相談の開催、OB・OG訪問用データベースや求人票などの情報提供を行っている。特に学内ガイダンスは全キャンパス合わせて年間約140回開催しているという。
 また就職・進路担当は、最近起きている就職活動生を狙った悪徳商法についての警告もしている。就職対策の講座に強引に勧誘して高額な費用を払わせるケースや、個人情報を聞き出そうとするケースがあり、慶大でも数件ほど報告されているので注意が必要だ。
 佐藤氏に就職活動を行う塾生へのアドバイスを聞くと「企業から最も問われるのは『大学時代に何をやっていたか』ということだから、勉強やゼミ、サークルなどにしっかり取り組む必要がある。塾生に対する社会の評価には自信を持っていいので、その評価に応えられるよう、日々の大学生活の中で自分の力を伸ばしていく姿勢が大切」と答えた。
 さらに実際の就職活動では「自分が見知っている有名企業だけに目を向けるのではなく、幅広い視野を持ってほしい。こだわりすぎず、柔軟性を持って活動してほしい」と話した。