いまだに全国的な広がりを見せている新型インフルエンザ。慶大における現状と対策はどうなっているのだろうか。
今年の8月1日から11月18日にかけて慶大保健管理センターに報告されたデータ=表参照=によると、罹患者数は塾生1038人、教職員26人で合計1064人。罹患率は2・7%となる。キャンパスごとの罹患率は信濃町が8・0%と最も高く、次いで日吉が4・2%、芝共立が3・2%、三田は最も低く1・3%となっている。同センターの南里清一郎教授によると、信濃町は病院の感染症対策と直結しており、罹患者の確認が徹底されているのでほぼ正確な数値だが、他キャンパスではデータに含まれない罹患者も少なくないと推測する。
また、慶應義塾の一貫校である各高校・中学校や幼稚舎では罹患者はさらに多く、学級閉鎖を行ったクラスも多い。
新型インフルエンザのような感染症への対策としては「感染源対策(予防接種や罹患者の出席停止)、感染経路対策(マスクや手洗い、うがい)、個人対策(予防接種や各自の健康管理、免疫力の強化)」の3つが重要だという。マスクや手洗い、うがいの効果を疑問視する声もあるが、南里教授によれば、飛沫の拡散防止・除去に役立つとともに、感染防止へのモチベーションを上げることにもつながるため、実行する意義は十分あるという。
「大学生ともなれば、きちんとしたエビデンス(証拠)に基づいて効果的な対策を講じることが必要だ」と南里教授は語る。そして同センターのホームページでは、医学的に正確な根拠に基づいた情報や、感染経路対策の詳細な説明などが掲載されている。
各種試験や就職活動が本格化するこれからのシーズン、同センターのホームページをこまめに確認して正しい認識を持ち、できるだけ感染しないよう各自が注意することが大切だろう。
(陶川紗貴子)