慶大大学院社会学研究科の渡辺茂教授と辻井岳雄准教授は、グローバルCOEプログラム「論理と感性の先端的教育研究拠点」における論理・情報班との共同研究で、ヒトが論理的に思考しているときに右半球の下前頭回と呼ばれる領域が強く活動することを明らかにした。
研究では、2つの前提から結論の正しさを導くという三段論法の問題を解いているときの脳の活動について、光トポグラフィー装置を用いて測定した。光トポグラフィー装置は、頭表に近赤外光を投射することで、皮質の酸化ヘモグロビン濃度を推定する装置。脳の局所的活動が強くなると酸化ヘモグロビン濃度が上昇することを利用して、脳活動を調べることができる。
今回の研究では、右半球の下前頭回の活動が強い人ほど物事を論理的に考える傾向が強く、この部位の活動の弱い人は常識や雰囲気に流されやすい思考パターンを持つことも明らかになった。
一連の研究結果は、米国の神経科学専門誌「ブレインリサーチ」誌9月号およびオンライン版に掲載される。