今多くの注目を集めている「サブスクリプションサービス」。定額料金を支払うことで、一定期間のサービスが受けられるシステムだ。

今回は、動画配信によるサブスクリプションサービスを展開するU-NEXTを取材した。

(株)U-NEXT 経営戦略室 ブランド戦略Gの佐野裕美さん

 

U-NEXTについて

U-NEXTは2007年からサービスを開始した、動画配信サービスの企画開発、運用、マーケティングを行っている企業だ。動画配信サービスは単独で利益を出すのが難しいといわれる中、単独サービスで黒字を出しているところがU-NEXTの強みである。また、エンジニアやカスタマーセンターを外部に委託せず、自社内で完結させていることも特徴だ。

U-NEXTの見放題作品本数は18万本を超えており、日本最大級の規模である。一つの契約で、四つのアカウントまで作ることができるため、さまざまなニーズに合わせて使うことができる。月額プランでは毎月1200ポイントが支給され、このポイントは最新作のレンタルやU-NEXTと提携している映画館で利用することが可能だ。

新型コロナウイルスの影響

新型コロナウイルスの影響で在宅時間が増え、ユーザー数や1人あたりの視聴時間が大幅に増加している。
そこで、通信基盤に問題がないか、今まで以上に目を配らせているそうだ。アクセスが集中する時間帯に、安定的に動画を配信することを重視しているのだという。

無観客興行を配信するためのインフラ補償提供プログラム

新型コロナウイルスの影響により無観客で興行せざるを得なくなったイベントを支援する、無観客興行を配信するためのインフラ無償提供プログラムが大きな話題を呼んだ。実際に、多くの問い合わせがあったと担当者は話す。
このプログラムは、「コンテンツを生み出す方の力になりたい」という思いから生まれたのだという。U-NEXTの会員に限定することなく、会員外視聴を可能にしたことが画期的な点だ。また、売り上げを主張せず、権利元に利益を戻した点も、高く評価されている。

電子書籍サービス

U-NEXTは電子書籍サービスも展開している。昨年1月に電子書籍と動画を一つのアプリに移行した。その結果、昨年1 月と比較すると、売り上げは9・3倍に伸びたのだという。現在、全会員の4分の1が電子書籍も利用している。無料で楽しめるコンテンツが増えている中で、若い世代の購入者が目立つ。さらに作品を検索すると、動画から電子書籍、またはその逆へ分かりやすく遷移するように工夫を施しているそうだ。

今後の展望

これまでと変わらず、最高の時間を配信し続けていく」と担当者は語る。
今後は、動画配信のみならず、音楽配信をより強化する方針だ。現在はシンガーソングライターのあいみょんさんによるライブツアー「AIMYON TOUR 2019 -SIXTH SENSE STORY-」を独占配信しており、幅広い世代から視聴されていたことを受け、音楽のニーズをあらためて感じているのだという。 作品と音楽を結びつけることで、これまでにないジャンルのニーズに応えていきたいと担当者は話した。

「『作品の主題歌を聴きたい、主題歌を歌っているアーティストを知りたい』という、もう一歩進んだ消費行動を、動画、書籍に続いて一つのアプリで実現させていきたい」

映像配信のみならず多岐にわたる分野との融合を図るU-NEXT。新たな挑戦は今後も続く。

(井上萌子)