『知らなかった』で済まされるのか 東京ディズニーリゾートでの撮影マナー

2018年11月、東京ディズニーランド内の「トゥーンタウン」エリアにあった、木箱のモニュメントが撤去された。
このモニュメントは、禁止されていたのにもかかわらず、木箱の上に乗って写真を撮る人が絶えず、問題となっていた。今、東京ディズニーリゾートにおける撮影マナーについて、改めて議論が巻き起こっている。

木箱が撤去された後の様子(記者撮影)

 

塾生へのアンケート結果

この問題に関連して、塾生を中心に131人の大学生を対象としたアンケートを実施した。
その結果、「木箱に乗ったことがある」と答えた35人中、「禁止と知らなかった」と回答した人が28人もいた。また、乗った・乗っていないにかかわらず、「禁止だと知らなかった」と回答した人も多く、4分の3近くに上った。

「禁止だと知らなかった」と答えた人の中には、東京ディズニーリゾートを運営する株式会社オリエンタルランドの対応に不満を感じる学生もいた。木箱には「NO STEP」という注意書きがペイントされていたものの、「おしゃれなデザインに埋もれてわかりにくい。禁止なら禁止だともっとはっきり示すべき」という意見もあった。

また、「ふたを開けて音を楽しむ」という本来の木箱の用途に関しても、知らなかったという人が半分以上おり、「木箱に乗る」という行為の多くは、禁止行為が故意に実践されたものではないと捉えられる結果となった。

一方、「規制線を張るなどして禁止だと明確に示すと、ルール違反行動は抑えられても、世界観を愛する人たちに残念な思いをさせてしまう」という意見もみられた。

 

「夢の国」のマナーとは

東京ディズニーリゾートは、「夢の国」として景観や雰囲気が大切にされている場所である。はっきりと「禁止」だと示すことが、守りたかった景観を逆に壊してしまうという意見もあるだろう。注意書きのペイントにとどまったオリエンタルランドの対応が、ディズニーリゾートの世界観を守るためだったと考えると、「知らなかった」の一言で突き放してしまうのはあまりに無責任かもしれない。

実際に、東京ディズニーリゾートの中でキャストのアルバイトとして働いている塾生は、「ゲストの行動自体を制限することはできないが、ゲストの身が危険だと判断した場合は、注意を促す義務がある」と話す。

パーク内で撮影をするのは自由であるし、夢の国をどう楽しむかもまた自由であるため、撮影自体の禁止はできない。その上オリエンタルランドは、景観よりも安全面をより重視しているため、安全面で問題がない場合、キャストがゲストの行為を注意するのは難しいという。「今の会社の方針だと、今回の木箱の上に乗る行為に関しては、あまり注意できないというのが現状。写真を撮ってくれと言われたら、撮るしかなかったと思う」

慶大のディズニー同好会の会員の多くは、木箱撤去は当然の結果だとして納得している。ある会員はこのように意見している。「そもそも、木箱に乗ること自体が景観を乱している。木箱に乗ることを防ぐために、わざわざパークの景観を汚してまでNO STEPと注意書きが入った。しかし何も変わらなかった。もう撤去しかないだろう」

もっとも、ディズニーリゾートでの撮影マナーについて、そもそも興味がないという人も多いのが現状である。アンケートによって、撮影マナーが悪いと感じる人が半分いる一方で、普通だと感じている人も同じくらいいることが分かった。「マナーなど考えたこともなかった」「特段悪い印象はない」「何も感じない」という意見からも、興味の薄さが感じられる。

撮影マナーの議論は、夢の国にはふさわしくない。マナーなど議論にならなくてもいいようなディズニーであってほしい。ディズニーリゾートをより楽しむために、撮影マナーについて一人ひとりがもう少し考えてもいいのではないか。この問題は、夢の国を楽しむ私たちゲストの行いにかかっている。

 

(常石萌恵)


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