先月行われた塾生代表選挙で、投票所へアクセスしたユーザー数が7500だったことが判明した。この数は有効投票数の3倍であり、アクセスしたが投票していないユーザーは、何らかのエラーで投票ができなかった可能性が高い。

塾生代表選挙は、有権者の10分の1の投票で成立することが選挙規約で定められている。今回の選挙では投票率が7.9%と基準の投票率を下回ったため不成立となった。

今回の選挙は、全塾協議会が行う選挙で初めて電子投票が導入された。運営のコスト削減や紙による投票で指摘されていた不正や不正疑惑などが現在のところ確認されていないなどメリットが多い。その一方で、システムエラーが報告されるなど例年にないトラブルがあった。

塾生代表選挙で使われた電子投票の仕組み(提供)

全塾協議会選挙管理委員会(選管)が作成した「2019年度塾生代表選挙報告書 補足資料」によると、有効投票数が2256だったのに対し、投票所へのアクセスは7500ユーザーだった。ただし、アクセスしたユーザーが選挙権を持つ慶大の学部生か否かは分かっていない。

選管によると報告された主なシステムエラーは、①keio.jp以外のアカウントでブラウザを閲覧していた場合、②アプリ内ブラウザを利用した場合、の二つに分類される。前者に関しては、350件にも及ぶエラーが発生していた(塾生以外も含む)。いずれのエラーもユーザー側の対応で解決することができるが、選管によるとエラーを理由に投票を諦めてしまう人がいたことを確認している。選管ではエラーを防ぐための呼びかけを行っていたが、有権者にとって負担になってしまった面は大きい。選管は、電子投票と紙投票の併用など、有権者にとって利便性が高く、選挙の原則が保たれる方法を検討する。

選管は今回の結果について、広報活動、投票方法に関する事項、塾生代表に対する認知度など様々な要因が、選挙不成立につながってしまったと陳謝している。

塾生代表選挙は、投票率の低さや、塾生の認知度の低さ、不正疑惑による信頼の低下など課題が多い。「塾生代表」を適正に決定する選挙制度を構築できるか、対応が急がれる。

(山本啓太)