日本国内での硬式テニスの人気はとどまるところを知らない。錦織圭、大坂なおみを筆頭に、数多くのプロ選手が国内外で活躍し、その人気の火付け役となっている。そんな勢いに乗るテニス界に、旋風を巻き起こそうとする選手が慶大硬式テニス部にいる。

羽澤慎治選手(環1)は、入学当初から1年生エースとして活躍し、強烈なサーブとコート上を縦横無尽に動き回る俊敏さを武器に、今夏の全日本学生テニス選手権大会では見事準優勝を収めた。

3歳のころ、母親によく連れられて行ったテニスコートでテニスというスポーツに出会った。類まれな才能を発揮し、テニス一筋でここまで歩んできた。「テニスは、僕にとって自分を一番表現できるもの。テニスを通じて色々な人たちに出会い、人としても成長できた」と語る。彼にとってテニスは欠かせないものなのだ。

高校卒業と同時に、プロへの転向ではなく大学進学を選んだ。その理由は、フィジカルやメンタル面でさらなる飛躍を遂げるためだ。1年生エースとしてのプレッシャーについては「あまりないです」ときっぱり。「自分が目指しているのは、例えばグランドスラムのような大学テニスの枠にとらわれないところまで行くこと。だから今はプレッシャーとかは、正直あまり感じません」と語る。1年生とは思えない落ち着いた雰囲気こそ、彼の大きな魅力の一つである。

自身の夢については、「学生時代から世界ランクでトップ1‌0‌0に入った人は、日本人では一人もいない。僕がその一人目になって、いつかはグランドスラムで活躍できるようなプレイヤーになりたい」と語った。

険しい道のりになるかもしれない。しかし、羽澤選手になら成し遂げられる。そう思わせる確かな自信を、彼の瞳から強く感じた。

(布施谷哲)