塾生コスプレイヤーの美学 「コスプレは一種のアート」

となりの塾生

「速水奏」に扮する石井朋希さん(総3)

夜のキャンパスに一人佇み、妖艶な雰囲気を纏う女性……。「アイドルマスターシンデレラガールズ」のキャラクター、「速水奏」がそこにはいた。「私の頬が冷えたら、キスで暖めてね。なんて」。彼女は笑みを浮かべながらこうささやいた。

「コスプレイヤーとして、できる限りキャラクターを綺麗に美しく見せる努力をしている」。こう語るのは総合政策学部3年、石井朋希さんだ。

彼は高校在学時からコスプレを始め、現在でもニコニコ超会議やコミックマーケットなどさまざまな場でコスプレイヤーとして活動している。しかし、一見華やかな見た目と裏腹に、コスプレイヤーとして、ここまでには葛藤があった。

初めてコスプレをしたのは2014年の冬、コミックマーケット87のことだった。その時に扮したのは「カゲロウプロジェクト」のキャラクター「キド」。当時の自分を「右も左も分からなかった」と振り返る。コスプレをしたきっかけは「SNSにあげても顔がわからないようなアイコンが欲しかった」から。その時点ではコスプレイヤーとして活動するつもりはなく、1回きりでやめる予定だった。しかし、その時に出会った人たちとの交流によって、次第に披露して撮影されること以外のコスプレの楽しさを知った。その時の気持ちが今日までコスプレを続けている原動力になっている。

男装と女装の割合は圧倒的に女装が多い。その理由は「自分の好きなキャラクターだから。そして、自分と全く違う顔をしているからやりやすいから」だという。メイクについて聞くと「女装のメイクは独学で学んだ。毎回扮する度に現場で何度も繰り返して今の手順に安定した」。女性のメイクを違った視点で見ることができる。女装をする上で男性の強みともいえるだろう。

石井さんにとってコスプレのやりがいとは何だろうか。「昔よく言っていたのは『キャンバスにお絵かきはできないけど、顔面にはお絵かきできるということ』」。自分の手先で何かを表現することが苦手だったとしても、自分自身を使って表現することができる。つまり、コスプレは一種のアートであると石井さんは語る。「アーティストと言えるかは分からないが、自分はそのつもりで毎回扮している」

最近は「自分である程度納得できる仕上がりにはできている」そうだ。イメージと理想を合致させるためにも日々、あらゆる努力を惜しまない。だが自分の限りを尽くして楽しめないレベルになってきたらそれは引き時であるという。「自分が綺麗でないと判断するものを見せる必要はない」。見せる側に回ったからこそ、見る側よりも気づくことは多いのかもしれない。

コスプレが見せてくれた新しい世界。「悔いは残したくない。楽しめるうちに楽しんでおかなきゃ(笑)。」最後に石井さんはこう締めくくった。

(浜中智己)


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