《ダンスで伝える》話題沸騰・中高生ダンス ダンス部を追いかけて

ダンスで伝える

ダンスメディアを手掛けてきた石原久佳さん

都内の中高では約2000校以上に存在し、約6万人が所属するダンス部。近年、サッカーやバスケットボールと並んで人気のある部活動の一つとなった。

また、教育機関もダンスに注目し、中学校の体育のカリキュラムに取り入れられた。一連の中高生ダンスブームについて、サイト「DANSTREET」と全国ダンス部向けフリーマガジン『ダンスク!』編集長として若者のダンスを追いかけてきた、石原久佳さんに聞いた。

ここまでに若者をひきつけるダンスの魅力とは何だろうか。「そもそもダンスとは原始的な行為」と石原さんは言う。弥生時代にさかのぼれば、一体感を得るために手振りを合わせるなどの民族的な風習がすでに行われていた。

しかし現代の日本では、会話をする際に手振りを使うのに恥じらいがある人が多い。人とのつながりを心から感じたいという思いや、内に秘めた身体表現への憧れを開放する。ダンスとして表現することで、生身の喜びを噛みしめることができる。

また、石原さんは「言葉には嘘がある」と話す。言葉のコミュニケーションでは完璧に真意を伝えることは難しい。世の中には多くのニュースやSNSの情報が溢れ、日々、言葉に振り回されて生きている。そのような現代を生きる中で、言葉を必要としないダンスに喜びやハートの共鳴を感じられるのである。

近年は中高生ダンス部への視線もより熱くなっている。特に、バブリーダンスで一躍有名となった大阪府立登美丘高校の活躍は、一層ダンスブームを印象付ける。

中高生のダンスは質の良しあしでは計れない魅力がある。ダンスに真剣に挑む想いや集中力など、科学では割り出せない「気」だ。中高生のダンス部にはそれぞれ3年間というタイムリミットがある。その限られた時間の中、部員同士でダンスの構成を話し合うことでコミュニケーション能力が養われる。さらに厳格なルールがないため、ダンスの幅が広がり創造性も磨かれる。たとえ踊りが拙くてもいい。3年間努力してきた過程に意味がある。彼らの生き様の波動が、観客の心を魅了する。

また、中学校の体育のカリキュラムにダンスが取り入れられた背景にも、創造性を養うというダンスならではの魅力がある。AIに仕事を奪われるかもしれない未来を見据え、人間にしかない力を、ダンスを通して教えることができる、と石原さんは分析する。

言葉や情報に溢れ、利便性を追求する今だからこそ、ダンス部のまっすぐな姿勢に心を揺らされる。また、教育面でもダンスの創造性が必要とされている。「中高生のダンスがブームとなっている日本が、のちにダンス先進国になってほしい」と石原さんは語る。

(菊池真由子)


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