熊本城 天守閣の復旧急ぐ

熊本城は、震災によって13の重要文化財建造物と20の復元建造物のすべて、および全体の3割の石垣で修復が必要な状態となるなど、甚大な被害を受けた。

熊本市が今年3月に発表した熊本城復旧基本計画によれば、復旧が完了するのは20年後の2038年。市は文化的価値の保全に配慮しつつ、震災前よりも耐震性を補強するなど安全性の向上も基本方針に据えている。

現在は計画に基づき、優先度の高い箇所から順に作業が進んでいる。特に、「復興のシンボル」と位置付けられ、最優先の復旧が急がれるのが天守閣だ。

熊本城の天守閣は大天守と小天守から成る。大天守は屋根や柱に大きな損傷を受けていたが、今年の秋のうちに外観の復旧が完了する予定だ。

小天守は、支えであった石垣部分が大きく崩壊した。その後石垣や1階部分が解体・撤去されたため、現在は天守上部が宙に浮いたような状態となっている。小天守の復旧にはまだ数年を要する。

現在、見学できるのは、天守閣を望む二の丸広場や、隣接する加藤神社に限られている。計画通りに天守閣の復旧が完了すれば、2021年頃には生まれ変わった天守閣内部が一般に公開される予定だ。

益城町 復旧期から再生期へ

益城町は震災による被害が最も大きかった地域の一つだ。町によれば、町内の98%の建物、一部の道路などが被災した。

町が策定した復興事業の実施計画によると、完全な復興には10年間の歳月が見積もられている。

今年度までは「復旧期」と位置付けられており、生活基盤となる住宅、施設、インフラ等の復旧に重点的に取り組む。町内は、さながら「工事ラッシュ」状態である。

ゆがみや亀裂の生じた町道や水道インフラ、一部施設は、現在、町内の至るところで同時に工事が進められており、今年度中には復旧が完了する予定だ。

前回取材した運動公園はさら地になっていた

震災直後に町民の避難所として機能した益城町総合体育館は既に解体され、来年度中に新築される。同施設ではメインアリーナの天井が崩落したほか、建物基礎の損傷も確認されていた。

解体の必要がある一般家屋は解体・撤去を終え、現在は住宅の新築工事も徐々に始まりつつある。

町の実施計画の上では、来年度から続く3年間は地域の価値を高め活力を取り戻す「再生期」だ。生活の基盤さえ失われていた復旧期を乗り越え、益城町がどのような一歩を踏み出すのか、注目される。
(石田有紀)