今季の慶大は、先発の髙橋亮(総3)、菊地(政4)に無理をさせず、髙橋佑(環3)、石井(商3)、田中裕(環4)ら救援陣を起用した小刻みな継投で逃げ切る戦術が目立った。昨年大車輪の活躍を見せた左腕の佐藤(環2)、右腕の関根(環2)の両輪が出遅れたが、厚い投手層がリーグ最高のチーム防御率2・08という数値をたたき出した。
打線は少ない勝機をものにした。本塁打こそ少ないが、粘って次につなげた。

守備では、柳町(商3)と河合(総4)が長打の当たりを何度も好捕し、ピンチを救った。また、瀬戸西(政2)の広い守備範囲と鋭い送球に観客は驚かされたことだろう。もちろん、投手王国を支えた郡司(環3)の好リードも忘れてはならない。

チャンスをつぶしても、相手に点を奪われても、ベンチの前向きな声が大きく響いていた。それに応えるように何度も逆転してきた。個々に結束し、諦めずに戦い続けたナインの姿が、大きな感動を呼んだ。

だが、チームは満足していない。リーグでは全カード勝ち越しとはならず、全日本大会でも準決勝で涙をのんだ。秋にどんな進化を見せてくれるだろうか。

(椎名達郎)