《今さら聞けないニュースの前提》シリア内戦 複雑化する勢力分布

今さら聞けないニュースの前提

Q なぜシリアで内戦が起こっているの?

チュニジアでの反政府運動を皮切りに、中東の民主化運動「アラブの春」が始まった。シリアにも飛び火し、2‌0‌1‌1年3月、アサド独裁政権に政治改革を要求する抗議デモが起こった。政権は無差別発砲でこれを弾圧。同年9月にシリア軍から一部が脱退する形で「自由シリア軍」が結成され、政権打倒を掲げ政府軍と武装闘争が始まった。それが今も続く長い内戦だ。

Q なぜこれらを支援する国があるの?

各国の思惑はそれぞれ異なる。ロシアはISの脅威を名目としているが、実際は親露政権崩壊の流れをくい止めるためという見解がある。イランは、イスラエル、アメリカ、サウジアラビアと伝統的に敵対関係にあるためだ。

一方で米国は、ロシアなどの牽制を目的としている。トルコは自国にも多く抱えるクルド人や、そのほかの難民が流入するのを防ぐためだ。

アサド政権は本当に独裁政権なの?

1‌9‌6‌3年以降バアス党による国家指導体制が確立している。これにより、バアス党を中心とする政党連合「国民進歩戦線」と無所属のみしか選挙資格がなくなった。人民議会ではバアス党単独で過半数、「国民進歩戦線」で3分の2の議席を握る。以来大統領は、アサド家が実質的に世襲を行っている。2‌0‌1‌4年に89%の支持を得た。

 民主化の流れはなかったの?

就任当初、アサド現大統領はインタ―ネット使用の解禁、政治犯の釈放、経済の自由化を行った。しかし9・11テロ以降、同じバアス党のイラク・フセイン政権が米国を中心とした多国籍軍によって攻撃され崩壊し、フセイン自身が処刑された。これに危機感を覚えたアサド現大統領は、反動的に弾圧者となった。

なぜトランプ米大統領はシリアを空爆したの?

オバマ政権はシリアの化学兵器使用について、レッドラインを定めた。トランプ政権はこれを踏襲し、一線を越えたと断定したため、今年の4月14日に英仏軍と共同で化学兵器関連施設へ巡航ミサイルを発射。限定的な空爆を行った。

シリアはこれからどうなっていくの?

 IS、反体制派ともに崩壊寸前で、アサド政権の権力基盤はほぼ揺るがないとされている。ただシリア政策研究センターによると、2‌0‌1‌5年の段階で死傷者数は2‌3‌7万人、国民の45%が家を失い、経済損失はGDPの8倍を超えた。今世紀最悪の人道危機となりこれからも悪化の一途を辿るのは間違いない。


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