《大人になる、ということ》個々の自立性 求められる 変化する親子関係を考える

大人になる、ということ

大人になるために、「自立」は欠かせない。親との関係は成長の中で変容するものだが、大学生は金銭面でも生活面でもまだ親に依存しながら大人になってゆく。

2‌0‌1‌7年6月に発刊された『親子白書』は、大規模なアンケートによって現代の親子関係の実態をデータから分析した。その制作に関わった、明治安田生活福祉研究所の力石啓史さんに話を聞いた。

16年に実施されたアンケートにおける「親との関係は良好か」という質問に対して、現代の大学生のうち、父親との関係が良好と答えたのは8割、母親との関係が良好と答えたのは9割以上だった。いずれも高い数値で、親子関係が良好な人は多い。

「親から褒められることと叱られること、どちらが多かったか」という質問に対して、「褒められることの方が多い」と答える割合を現代の大学生とその親の世代で比較すると、父母どちらに対しても高いことがわかった。力石さんは「親子関係にかつて強く存在した『緊張感』が薄れてきているのだろう。また、積極的に子どもを叱らない『ほめ育て』が一般化していると言える」と語る。

また、近年は反抗期を経ない子どもが増加しているという。親世代では3割に満たなかったのに対し、現代の大学生では4割を超えている。

反抗期があったか否かで、悩みや不満の相談相手は変わってくる。反抗期があった場合は、友達や恋人などに相談する人が多いという。一方、反抗期のなかった場合は、相談相手を持たない人や、母親に相談する人の割合が高くなっている。力石さんは、「思春期において、自立への志向と両親への依存を繰り返す過程に、反抗期があるのではないだろうか。したがって、両親以外の相談相手を増やすことが、自立にもつながると考えられる」としている。

親子関係が良好で、反抗期を経験しない子どもが増えていることを考えると、「親からの自立」を志向しない大学生が増えているのだろうか。しかし、20代の社会人に向けたアンケートは意外な結果を示している。

親と同居している未婚の20代社会人に向けた「いつまで親と同居したいか」という質問を見てみる。親世代では「結婚するまで」という回答が57%に上ったのに対し、現代の子ども世代は「経済的に自立できるようになるまで」という回答が32%で最も高かった。また、「できるだけ早く独立したい」という回答においても、子ども世代が、親世代の当時よりも7%高くなるなど 、現在の若者が「自立を志向しない」ということではない、と言えるだろう。

これについて、「現在では『経済的に無理をしない』という考え方が、若者の間で浸透している。そして、結婚・家族観が多様化しているのも要因だろう」と力石さんは話す。

親子関係の「友達化」が進み、反抗期を経験しないような子どもも増える一方、今までの結婚・家族観に囚われない若者は多くなっている。親という存在、家族という概念、それらと正面から向き合うことが、あなたの理想の「自立像」を考えることにつながるのではないだろうか。

(仮屋利彩、松岡秀俊)


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