《大人になる、ということ》得られる権利と問われる責任 成人年齢引き下げを考える

大人になる、ということ

上智大学総合人間科学部の田中治彦教授

先月13日、成人年齢を現行の20歳から18歳に引き下げる民法改正案が参議院本会議で可決され、成立した。2‌0‌2‌2年4月から施行される見通しだが、私たちに大きな影響はあるのだろうか。市民教育を専門にしている上智大学総合人間科学部田中治彦教授に話を聞いた。

この改正により、18歳から様々な権利行使が可能になる。その中には、自らが契約主体になることも含まれている。現行民法では未成年者は契約をする際、一部の例外を除き、親権者の同意が必要だ。それが改正民法では18歳以上は未成年者とならず、親の同意なしに契約できるようになる。その反面、親権者の承諾のない契約を無効にする取消権の対象外になるため、契約のトラブルが増加することが懸念されるという。成人することは、自由が増える分、全て自己責任になってしまうという点でメリットでもありデメリットでもあると田中教授は語る。

また、大学入学時には全員が成人年齢に達することとなる。これは大学で必要とされる自律性と親和性が非常に高い。学生のうちから大人としての責任を持つことが求められるため、自立が促されるだろう。今回、成人年齢引き下げの議論が活発化したのは改正公職選挙法により選挙権が18歳以上に認められたことが大きな理由である。諸外国はすでに成人年齢を18歳に引き下げている。その背景には、成人年齢を成熟期と捉え、生理的成熟年齢と社会的成熟年齢の乖離を是正しようという考えがある。生理的成熟と社会的成熟が離れれば離れるほどモラトリアム人間が増えていくというのだ。現代社会では青年期が延びており、大学進学率が上昇している今、長いモラトリアム期間を過ごす人々が増加しているとも言えるだろう。そこで、社会への参加時期を早め、責任を与えることで自立した個人を育成することが目標だ。将来を担う若者が早くから政治や社会に関わることは、これからの社会の発展のために重要な要素となる。

「大人」として社会に参加する自由を得ること、そしてそれに伴う責任を自覚することが求められる。大人になる、それは責任を負うということなのである。

(下遠野一樹、石嶺まなか)


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