新井勇大選手(経3)がボート競技を始めたのは高校生の時である。「競技を始めた当初は、陸上とは違う感覚に戸惑いもあったが、新しい感覚の楽しさに魅了された」と話す。

ボートを漕ぐのには主に腕力が重要と考える傾向がある。しかし実際には、ボートはカヌーとは異なり座席がスライドするため、下半身の筋力を鍛えることも大切なのだという。普段の練習では、毎日2回20キロのボートコースを漕ぐだけでなく、陸上でも下半身を鍛えるトレーニングを欠かさない。

早慶レガッタなどで使用される8人乗りの「エイト」をはじめ、ボート競技は息の合った動きが勝利のカギとなることが多い。動きをそろえるコツは端艇部員による寮生活にある。部員たちと共に過ごし、同じ釜の飯を食べ、練習することで、自然と息の合った動きをとれるようになる。

そんな毎日を過ごしている新井さんの嬉しかったことは、昨年、埼玉県選抜に選出されて国体に出場し、優勝できたことだ。「日本代表の選手と共に試合に挑めたことは非常に良い経験になった」と話す。

しかし、練習は厳しく、悔しさを噛みしめる時もあるだろう。それでもボートを続けている理由は、「まずは練習中に漕手の息が合って飛んでいるような感覚になること。次に試合で勝利した瞬間。これらはどんなものにも代えられないほど格別であり、ボートをもっとやりたいと感じる時だ」と笑顔で語った。

最後に今後の目標を尋ねた。早慶レガッタでの男子・女子の完全優勝、インカレでの優勝、そして個人の目標は日本代表になることだそうだ。

今年度の早慶レガッタは22日に行われる。昨年度は史上初の6連覇をかけた戦いであったが、まさかの敗北。涙を流す結果となった。今年こそは桜橋で慶大の勝利の瞬間を目に焼き付けたい。

(高橋千瑛)