新丸子。武蔵小杉から東横線で一駅、わずか一分ほどである。毎日通過する人は多いと思われるが、実際に降りたことのある人は少ないであろう。

「街の名前は知っているのに、そこを散策しないのは勿体ない!」ということで、我々は新丸子の地に降り立ったのであった。

改札を出ると、東口と西口が見通せるようになっている。東口には「新丸子東栄会」という書店街が広がっている一方、西口にも商店が多く立ち並んでおり、共ににぎわいを見せていた。

京濱伏見稲荷神社

東口を出てすぐ右に曲がり、路地を少し進んでいくと、大きな鳥居が現れた。京濱伏見稲荷神社である。この神社は、京都にある伏見稲荷大社のご神示によって、1951年に出世稲荷として鎮座されたという。

京濱伏見稲荷神社

神主さんは、日吉キャンパスが近くにあることから、この伏見稲荷と慶大生には浅からぬ縁があると話す。ある慶大生は、毎日伏見稲荷にお参りし続けたところ、お稲荷さんが設置されていた企業から内定をもらったという。

他にも、この伏見稲荷にお参りを続けている慶大生は少なからずおり、新丸子の土手で練習をしている慶大のラクロス部が、勝利祈願のためにご祈祷をしたこともあるようだ。

この伏見稲荷は、海外の旅行者向けサービス「トリップアドバイザー」における4つ星を獲得しており、海外の旅行者が参拝に訪れることが多いようだ。「ぜひ、外国の人々と交流したい人にも来ていただきたいです」と神主さんは話す。

大本殿は重厚な造りとなっており、迫力を感じさせるものであった。そこでお参りをしてから、周りをじっくり散策してみる。

境内は静かな雰囲気に包まれており、中央にはいくつにも連なった鳥居が設置されている。伏見稲荷大社の千本鳥居を彷彿とさせる美しい姿であった。

鳥居がたくさん立ち並ぶ

その横には、108体もの神使狐石像が招福池の周りに佇んでいた。池の周りからこちらを優しく見つめる神使狐一体一体を前に、私たちははっと息をのんだ。他にも境内には、富士山の形をした「富士浅間社」や、様々な稲荷がおかれており、非常に楽しく散策することができる。

京濱伏見稲荷神社は、地元の人々、そして海外の人々に愛された、美しき神社であった。

Hana CAFE

Hana CAFE

神社を出て、駅に向かって住宅街を少し歩いたところにあるのがHana CAFEだ。木造のお店を多くの緑や花が囲み、足を踏み入れた途端にナチュラルでおしゃれな空気感が我々を包んだ。

私たちがお店を訪ねたのは11時半過ぎごろ、店内はすでに多くのお客様で賑わっていた。ランチタイムには混み合うこともあるため、予約をしておくと安心だ。テラス席が入口近くにあり、自然を感じながら気持ちよく食事を楽しめそうなスペースとなっているため、これからの季節におすすめである。

Hana CAFEのハンバーグ

私たちは、ハンバーグと野菜のポタージュのセットと週替わりランチのビーフカレーを頼んだ。ランチメニューは全てドリンクとサラダが付いて1000円(税抜)とお手頃な価格だ。野菜のポタージュは日替わりで、この日はほうれん草のポタージュ。とても優しい味で外の寒さで冷えた身体が一気に温まった。

ハンバーグにナイフを入れると一気に肉汁が溢れ出し、私たちの食欲を刺激した。家庭的な味で、噛むたびに肉汁が溢れ、デミグラスソースと肉そのものの美味しさでご飯もすすんだ。ハンバーグランチと聞くとどこかガッツリとした印象を受けるかもしれないが、玄米ごはんなので身体にも優しく全体としてとても食べやすい。メニューの多くに「自家製」や身体に良さそうな食材が並んでいるのがこのお店の特長である。

その他にも季節のデザートが用意されており、この日は桜やイチゴのスイーツのラインナップがとても充実していた。

季節ごとにHana CAFEを訪ね、その季節を感じるという楽しみ方も、十分にできるだろう。授業や課題に疲れたとき、是非Hana CAFEでゆったりとした時間を過ごてみてはいかがだろうか。

三ちゃん食堂

どこか懐かしい雰囲気が漂う「三ちゃん食堂」

続いて駅に戻り、西口を出て路地を少し進んだところにある三ちゃん食堂を訪れた。『吉田類の酒場放浪記』『おんな酒場放浪記』『孤独のグルメ』などでピックアップされた、老舗の有名食堂である。店の前に来ると昔懐かしい雰囲気が感じられた。

昼すぎには既に、夕方の居酒屋のような楽しげな様子であった。壁には数々の著名人のサインが貼られている。

ずらりと並ぶメニューの中から、ヤキ肉ライス、ハムエッグ、モツ煮込み、ソース焼きそば、餃子を注文した。特に、ヤキ肉ライスやヤキ肉丼は人気メニューだそうだ。

まもなくして料理が運ばれてきた。まずモツ煮込みは、こくのあるモツとネギの相性がピッタリである。モツ好きにはたまらない。ハムエッグは、しっかりとした食感のハムの上に目玉焼きが2つ、のっている。黄身に箸を入れると、黄身がとろりと溢れ出す。熱々の餃子とソース焼きそばは、誰もが大好きな王道の美味しさである。

名物のヤキ肉ライス

最後に運ばれてきたヤキ肉ライスは、食べ応え抜群の一品であった。「ヤキ肉」を口の中に入れると豚肉とタレのうまみが広がる。豚肉の脂もまた美味しい。肉厚の豚肉にタレがからんでおり、ご飯がすすむ。肉の下に敷かれているキャベツの千切りもシャキシャキである。付け合わせのマカロニサラダは懐かしい美味しさ。ヤキ肉ライスが人気メニューである理由が分かる。なんともいえない幸せを感じた。

ボリューム満点で価格もお手頃な三ちゃん食堂。日吉キャンパスでの授業の合間に食事をとるのにもピッタリである。

Big Baby Ice Cream

駅前に戻り、東口からまっすぐ伸びている東栄会通りを少し進むと、シンプルモダン風なお店が現れた。店名は“Big Baby Ice Cream”。店の前にはベンチがあり、その上においてあるモニュメントが可愛らしい。

Big Baby Ice Cream

店の中には、白を基調とした穏やかな空間が広がっていた。カウンター席とテーブル席がそれぞれ用意されており、店内ではラジオが流れている。地元の子どもとお母さんが、仲良くアイスを食べている姿を見て、私はたちまち幸せな気分になった。

店主さんに、「おすすめは何ですか?」と聞くと、「ドーナッツアイスですね」と教えていただいたので、それを注文する。待つこと数分、出てきたのは、バニラアイスクリームを贅沢といわんばかりに乗せた、黄金色のドーナッツだった。その上からメイプルシロップを、これまた贅沢にかけて、口に運ぶ。

サクサクとしたドーナッツと、冷たくて甘いアイスクリーム、そしてメイプルシロップが、絶妙にマッチして、幸せの味を作り出していた。ドーナッツ・アイス・メイプルのどれが欠けたとしても、この幸
福の味は生み出されないだろう、と確信する。食べ進めていく中でだんだんアイスが溶け始めると、アイスとメイプルがさらにドーナッツのおいしさを引き立てる。幸せのうちに食べ終えてしまった。

おすすめの「ドーナッツアイス」

ドーナッツアイスの他にも、このお店では様々な種類のアイスクリームそのものを楽しめるほか、最中アイスクリームやバナナチョコサンデー、さらにはラムをアイスにかけたラムミルクも注文することができる。

飲み物のメニューとしては、コーヒーやチョコレートミルクだけではなく、ビールやワインなどのお酒も楽しむことができるという。私が今回訪れたのは夕方であったが、夜になると、このお店はどんな顔を見せてくれるのか。ぜひ訪れたいものだ。

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新丸子の街には、多様で面白く、そして温かみを持った場所やお店がたくさんあった。あなたもぜひ、この街を歩いてみてはどうだろうか。