《学問の魅力を聞いてきた》法学部政治学科  大久保健晴准教授

学問の魅力を聞いてきた

「政治」と聞いて国会や外交、自衛隊をイメージする新入生の方は多いかもしれません。国政、つまり「大きな政治」は言うまでもなく政治学の核をなす要素の一つです。

ただ、実は生活のもっと身近な部分にも政治は働いていると考えられます。例えば新入生の方なら、サークルに入ることを検討するでしょう。サークルの中で、合宿の行き先をどのように決めるか。慣習に従うのか、権力が強い人の意見に従うのか、皆が平等に議論を交わすのか。このように「決め方を決める」ことも政治学においては重要な議論となります。「小さな政治」の積み重ねが「大きな政治」を作り上げているのです。

もう一つの例を挙げてみましょう。1‌0‌0人の共同体で90人の利益と10人の利益が対立した場合、90人の意見に従った政策を実現するのが民主主義だと一般的には考えますよね。経済的にもそちらの方が合理的であるように思えます。しかしその政策は10‌人の弱者を生み出します。彼らを社会から疎外することによって、貧富の差が拡大することもあり得るのです。

私たち人間は、合理性だけを求めて動く機械ではありません。当たり前と思われていること、すなわち「自明性」を疑い、貧困などの不正義を正し、善き生を実現する。政治学とは、人間が人間として生きていくための条件を模索する、「可能性の学問」なのです。

聞き手=広瀬航太郎)


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