東京六大学野球秋季リーグ戦は10月30日、全日程を終了し、早稲田大学が3季ぶり38回目の優勝を果たした。一方、三連覇を目指した法政大学は振るわず、四位に甘んじた。第3週に法大相手に勝ち点を落としていた塾野球部は、第6週に明大にも敗れて勝ち点を積み重ねられず、この時点で優勝の可能性を失った。だが、既に早大が優勝を決定して迎えた最終週・早慶戦にて意地の勝ち点を奪い、三位で有終の美を飾った。なお、岡崎祥昊捕手(総4)が自身初の首位打者を獲得し、本塁打王の佐藤翔外野手(総3)と共にベストナインに選出された。
 
 
 慶明一回戦
 ▼第一戦 ●
 【慶大4―5明大】

 先発加藤(環3)は毎回のように得点圏に走者を背負う苦しい投球。それでも優勝のためにも絶対に負けられない慶大は明大の拙攻に助けられ、試合を進める。しかし打線は二回に2点、三回に1点取ってからはチャンスすら作れない。これまでどうにか3失点で粘ってきた加藤だが、ついに九回、一死二塁から明大、久保田に2ラン本塁打を浴び、勝ち越される。慶大も二死から岡崎のソロ本塁打を放つものの、反撃が遅すぎた。
 試合後、岡崎は「打ったのは低めのスライダー。体が反応してくれた」と本塁打の場面を振り返り、この試合の敗戦により優勝が厳しくなったが、明日以降、「闘争心を忘れずに、相手に向かっていきたい。とにかくやるしかない」とコメントした。
 
 
 慶明二回戦
 ▼第二戦 ●
 【慶大0―1明大】

 三回に遊失から一死二塁のピンチを迎えると、明大、田沼に適時打を打たれ、先制される。しかし先発相澤(経2)は危なげない投球で追加点は許さない。何とかして相澤を援護したい慶大だが、五回、先頭大伴(環3)の二塁打で、無死から得点圏に走者を置くが、後続のバント失敗によりチャンスを広げられない。
 結局、明大の水田、久米の継投の前に、最後まで打線が沈黙し、完封負けを喫した。この敗戦により、慶大の優勝の可能性は消滅した。
 試合後、金森宏(環4)主将は「(1点とられても)何とかなるだろうという気持ちが完封負けという結果になってしまった」と試合を振り返り、自身最後の早慶戦に向けては、「慶応野球部員として一生懸命プレーしたい。フルスイングして、のびのびやりたい」と抱負を語った。
 
 
 慶早一回戦
 ▼第一戦 ○
 【慶大5―1早大】

 慶大打線は一回裏、瀧口(政4)の四球、金森宏の二塁打で走者を貯め、岡崎(総4)の適時打で2点を先制。五回には金森宏の適時三塁打、七回は敵失絡みで2点を挙げ、終わってみれば早大から計5点を奪った。投げては先発の加藤が九回を完投して被安打4、無四球、8奪三振。球速は自己最高の148 キロをマークし、早大にほとんど付け入る隙を与えなかった。
 試合後加藤は、「優勝がなくなったので楽しんで投げることだけを心がけた」。金森宏主将も「のびのびと、楽しくやることしか考えていない」と語った。これらの言葉から連想されるのは、まさに「エンジョイベースボール」。この日の慶大は、それを実践できた試合であったと言えるだろう。
 
 
 慶早二回戦
 ▼第二戦 ●
 【慶大2―4早大】

 慶大は初回、岡崎の2点適時打で先制する。しかし、その後は早大・宮本の前に再三走者を出すが得点には結びつかない。
 追加点を奪えない苦しい状況の中、先発の相澤は「抑える自信があった」と今季一番の投球を見せる。ところが、勝利目前の九回裏一死、田中幸に失投をレフトスタンドまで運ばれ、同点となり試合は延長戦へ。
 表の攻撃が無得点で勝ちがなくなった十二回裏、相澤の後を受けた関本(環4)が代打・佐伯にまさかのサヨナラ2ラン本塁打を打たれて試合終了。
 悔しい敗戦となったが、打線は残塁13、投手陣も二度の「あと二人」の場面で本塁打を打たれ、試合後、相場監督がコメントしたように「詰めが甘い、今季を象徴するような試合」であった。
 
 
 慶早三回戦
 ▼第三戦 ○
 【慶大2―1早大】

 今季リーグ戦の最終戦は投手戦となった。慶大・加藤、早大・大谷が意地を見せ、ともに得点を許さない。
 試合が動いたのは六回裏だった。金森宏の左中間を破る適時二塁打で慶大が一点を先制し、宮田(環3)の三ゴロ野選で1点を追加した。
 八回表、力投してきた加藤が捕まり1点を返される。なおも一死一、三塁のピンチに、相場監督は前日好投した相澤を投入。この継投が的中した。相澤は次打者を併殺打で切り抜け、九回も三者連続三振と期待に応えた。
 試合後、選手達は「(四年生にとって最後の)早慶戦で勝ててよかった」と口を揃えた。優勝がなくなり、一度は目標を失いかけた選手達は早慶戦で勝ち点を奪うことに目標を切り替えていた。その中で得たこの勝ち点は慶大の全ての選手にとって自信になったはずだ。