受験シーズンも終わり、引越しのシーズンになってきた春休み後半。重い荷物を運ぶ引越し業者の方を見かけると、そのたくましさに感心を覚える。そんなある日のこと、探偵事務所に一件の依頼が舞い込んできた。

「4月から新入生が入ってきますが、部室が見るにたえない状態です。彼らを気持ちよく迎えるためにも、上手く片付けをする方法を教えてください」

一瞥して、所内を顧みると、依頼人には申し訳ない気持ちになる。我々が模範になることはできそうになかった。事務所内は惨憺(さんたん)たる状態と言ってもふさわしいほどの荒れ模様だったからだ。

「これはとても我々の手に負える問題ではない」。そう考えた探偵は専門家にアドバイスをもらおうと考えた。それを我々の事務所で実践し、その上で依頼人の要望に応えるのが最適だと思い立ったのだ。

専門家に聞く、片付けのポイント

探偵はお片付けカウンセラーの橋口真樹子さんのもとを訪れた。話を聞いたところ、片付けは理論に基づいて行うものであると助言する。理論には必ず結果が付いてくる。そして、結果を達成するためにはゴールや目的が必要不可欠だ。とりあえず我々もゴールを設定。「円滑に職務にあたることができる環境を形作ること」とした。

ひとまず事務所の現状を見せたところ、「あなたがたの事務所は、設備はとても良いものですが、最大限にそれらを活かしきれていません」と橋口さん。探偵は恥ずかしい気持ちでいっぱいになった。

橋口さんとの相談の末、片付けの理論や我々がするべきことが次第に見え始めてきた。

第一に、動線や物の定位置を考えること。これは間取り図で考えると分かりやすい。物の使用頻度や使う場所、また、ある物の量が適当であるかに焦点を当てることが重要である、と橋口さんは語る。使用頻度や物の量に目をつければ、自ずと捨てる物や移動すべき物も見えてくる。

第二に、物の収納方法を考えること。収納方法には、「棚・引出し・吊るす」の3種類があるが、ある物を使うためのアクション数をできるだけ少なくしたり、グルーピングを工夫できないかを探ったりすることが主になってくる。

第三に、片付けた部屋の維持の仕方を考えること。橋口さんによれば、きっちりとしたマニュアルはいらないが、全員が分かり、全員ができるものが望ましいそうだ。そのため、「一番片付けが苦手な人」に合わせるのが大切だと指摘する。方策としては、ラベリングをつけて物の定位置を分かりやすく示すことや、「片付けが苦手な人」の行動を観察して微調整を行うことだと語る。

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