2‌0‌1‌7シーズン、関東リーグでは1部の最下位。そして、2部降格と慶大は辛酸をなめた。苦しみ続けた1年を振り返る。
 
リーグ初戦は白星発進と、幸先のいいスタートだった。だが、すぐにほころびは明らかになる。前期の後半になると、「勝てない」チームになってしまった。スコアレスドローに持ち込んで守備への自信をつかむ試合があった一方、一度崩されると連続失点するゲームが幾度もあった。
 
後期になっても悪い流れを断ち切れず、シーズンを通して逆転勝ちした試合はゼロ。逆境を跳ね返す勢いをつかめなかった。残留の分け目は第20節の明大戦。相手に主導権を渡さない堅実な試合運びで決して悪い内容ではなかったが、一瞬のすきをつかれて失点し、敗戦した。一方で残留を争うライバルたちが勝ち点を積み上げ、慶大は最終節までもつれ込んだ残留争いを制することができなかった。
 
苦しんだ原因を一言で言えば、勝利の型が定まらなかったことだ。今シーズンで一新した守備陣は、経験不足という不安を抱え、攻撃面での連携が十分に機能しなかった。後期に入って前線にロングボールを供給する戦術も見られたが、池田(総4)ら前線の選手が孤立し、攻撃の厚みがさらに欠けてしまった。そして、球際の弱さも攻撃の組み立てにおいてマイナスに作用した。簡単にボールを奪われ、奪い返せない。チーム全体としてこの弱点が際立った。
 
しかし、悲観するだけでは何も生まれない。明大戦直後の第21節駒大戦では、「いい意味で吹っ切れた」と勝利をおさめた。「勝てない」流れを断ち切ったのだ。そして、今シーズン好セーブを連発したGKの上田(総2)、攻撃で後期に大きな存在感を見せたピーダーセン(経2)など、下級生の活躍も光った。今季の苦しみをいかに来季につなげるか、新たな1年が始まる。
(杉浦満ちる)