東京六大学野球秋季リーグ戦は、十月八日までに第五週までの日程を消化した。四季ぶりの優勝を目指す塾野球部は、第三週の法大戦で初戦を制したが二戦目以降を落とし、勝ち点を逃した。第四週で東大には連勝したものの、順位は早大、法大に次ぐ第三位となっている。優勝の望みをつなぐには、第六週の明大戦での勝ち点が絶対条件だ。
 
 
 慶法一回戦
 ▼第一戦 ○
 【慶大4―0法大】

 「今シーズンのリーグ戦に賭けている。この試合は一人で投げきるつもりだった」と話す加藤(環3)の気迫に満ちた投球が慶大に勝利を呼び込んだ。加藤は立ち上がりから絶好調で、七回に無死一、三塁というこの試合唯一のピンチを三者連続三振で切り抜けると、被安打4、与四死球2、「要所でしか狙わなかった」という三振は毎回の14個。135球の熱投で法大打線を完封した。
 四回に追加点となる犠飛、七回にはダメ押しの本塁打を放った金森宏主将(環4)は「本塁打は入るとは思わなかった。加藤がチームに流れを持ってきてくれた。自分の守備位置から見ていて、加藤が打たれる気がしなかった。今までの投球の中で一番良かったのではないか」とコメント。相場監督も「今日の試合は加藤の好投に尽きる」と話し、立大一回戦に続くエースの二試合連続完封勝利に笑顔を見せていた。
 
 
 慶法第二戦
 ▼第二戦 ●
 【慶大4―5法大】

 一回に2点を先制されるが、六回に佐藤翔(総3)が適時打を放ち、反撃を開始すると、八回には佐藤翔の3ラン本塁打で、逆転に成功する。
 しかし、ここで逃げ切りを図り、加藤を中継ぎとして投入するが、前日先発の疲れからか崩れてしまう。九回、ピンチを迎えると、法大の須藤、前原に連打を浴び、まさかのサヨナラ負けを喫してしまった。
 試合後、相場監督は「法政は強い。なかなか勝たせてくれない」と試合を振り返り、明日の試合に向けては「選手達がいつも通りの野球ができるかどうかだ」と語った。
 また選手達も「明日は絶対勝ちたい」(金森宏)、「明日は気持ちを切り替えて試合に挑む」(佐藤翔)と悔しい敗戦にも次を見据えていた。
 
 
 慶法第三戦
 ▼第三戦 ●
 【慶大3―4法大】

 前日、痛い星を落とした慶大は三連投となる加藤を先発させ、法大から三季ぶりの勝ち点奪取を目指した。だが、1点リードの七回にリリーフした守口(商3)が捕まり、二失策もあって逆転を許してしまう。九回裏には佐藤翔の本塁打で1点差に迫り、尚も1死二・三塁のチャンスを作るが、結局ここであと一本が出ず。連敗を喫し、勝ち点をふいにしてしまった。
 
 
 慶東第一戦
 ▼第一戦 ○ 
 【慶大4―0東大】

 中盤まで東大先発重信にてこずっていた慶大打線だが、七回、一塁に佐藤翔を置いて岡崎(総4)が先制2点本塁打を放ち、均衡を破る。
 続く八回にも佐藤翔の適時二塁打などで2点を追加し、東大に快勝した。
 先発加藤は、序盤こそピンチを招く場面もあったが、中盤以降立ち直り、16奪三振を奪う力投で完封した。
 試合後、殊勲打を放った岡崎は「悪い流れを断ち切ろうと思って打席に入った。打った瞬間はレフトフライかと思ったけど、打球が伸びてくれた。明日以降も勝ち続けて、優勝したい」とコメントした。
 これまであまり打撃面で調子の上がらなかった岡崎の復調で、好調な金森宏、佐藤翔を含めた中軸は相手にとって脅威となるだろう。
 
 
 慶東第二戦
 ▼第二戦 ○
 【慶大5―1東大】

 慶大は初回、先頭の仁科(環4)が中前打で出塁すると二盗、三盗を決め、金森宏の内野ゴロの間に先制した。二回には相手投手の暴投と相澤(経2)の本塁打で3点を追加し、八回に岡崎がダメ押しとなる二試合連続本塁打を放ち、試合を決めた。
 初めて先発のマウンドに立った相澤は、序盤こそ四死球が多くリズムに乗れなかったが、七回を投げて2安打、1失点とまずまずの投球内容で今季初勝利。これで慶大は、勝ち点を2とした。
 試合後、相場監督は相澤について「最近調子が良かったので先発させた。よく投げたが、今後はもう少し安定感がほしい」。5点を奪ったものの、東大投手陣を相手にわずか3安打しか放てなかった打撃陣に関しては、「打球を打ち上げてしまうことが多かった。明大戦まで二週間あるのでその間に修正していきたい」と語り、勝利にも不満げな表情を見せていた。