友人との遊びに、今日の思い出の記録に、理想の姿の撮影に。さまざまな目的や願望をのせて、プリントシール機は人々に支持されている。

1995年の「プリント倶楽部」発売以来、プリントシール機は大きく変化した。機能は進化し、写真写りやデコレーション、筐体(きょうたい)のデザインは流行に合わせて変わっていった。

2000年代前半は、椅子が設置してあり背景と合成できるものや風が吹くものなど、さまざまな楽しみ方ができる機種が登場した。それからギャルブームが起こると、とにかく「デカ目」になるよう「盛る」ことが重視された。

アイドルがブームになった2011年頃にはギャルテイストは鳴りを潜めて、「ナチュラル盛り」が流行した。

そして2014年頃からは、ただ「盛る」のではなくそれぞれの理想に近づけることが可能になった。機種ごとにテイストが異なり、自分に合った撮り方ができる。

この頃にはスマートフォンが普及し、アプリで自分の顔を好きなように加工するのが当たり前になった。プリントシール機を制作するフリュー株式会社の古澤さんは「最近は加工アプリの影響で、大きな目に違和感を持たない人が多い」と話す。また、「自撮りはライバルではなく、むしろ共存する存在」だと言う。撮影そのものを遊びとして楽しむことや、全身を撮影するのにはプリントシール機の方が適している。

変化を体感するには実際に撮ってみるのが一番だ。最新機種「これ以上可愛くなってもいいですか―。」で撮影してみた。

中に入る前に背景を選択。あらかじめセットになった背景を一括で選ぶ。まず驚かされるのは、セルフシャッター機能だ。好きなタイミングでボタンを押して撮れるため、カウントダウンに焦らずに済む。

撮り終えたら落書きに移る。この機種では、目の形を変えることや、「ふたえ幅」をつけることができる。別人のように印象を変えることはできるが、顔のバランスが不自然に崩れることはない。

スタンプはシンプルなものが多く、文字もすっきりとしたフォントだ。最近は、スタンプやペンなどの落書きはシンプルに済ます人が多いと言う。

ギャルブームの頃はカラーコンタクトにつけまつげ、髪色の変更など派手なメイクアップ機能が多かったが、この機種ではアイブロウとリップ、チークを付け足せる。流行に沿ったメイクアップで、自然に理想に近づくことができる。

印刷されたシールはコラージュ画像のようにまとまったカード型になっていて、カードケースで保管することができる。

百聞は一見に如かず。しばらくプリントシール機に触れていない方はぜひ試してほしい。きっと、数年前との違いに驚きと感動があふれるはずだ。

人々の理想は時代とともに変化する。今は、それぞれが異なる「なりたい自分」を掲げる時代だ。みんなの理想を叶えるために、プリントシール機は進化し続けていく。
(新山桃花)