自分で作ったお弁当を学校に持っていきたい。そう思っても、朝の限られた時間の中でお弁当を作るのは、料理初心者の大学生にとって簡単なことではないだろう。そこで、慶大文学部卒業後、料理研究家として活躍している高木ゑみさんに、料理に慣れていない人でも手早く楽にお弁当を作れるコツを教わった。

「定番だが、素早く作るには作り置きが便利」。ひと手間加えるだけで一品できるような食材を常備しておきたいという。たとえば「チャーシュー」や「そぼろ」、「ナムル」など。そのままご飯に乗せても良いが、野菜と和えればまた別のメニューに。もちろん、調理して完成したものを一食分ずつカップに入れ、冷凍保存するのもよい。

だが作り置きだけではもの足りないこともある。一から作る場合は、「一気に」というキーワードを意識すると良いそう。まず、冷蔵庫にある使えそうな野菜をすべて取り出す。そして一気に洗って、一気に皮をむき、ゆでるものは一気にゆでる。下ごしらえが全て終わった状態で、調理を始めるようにしよう。これが時間短縮のポイントだ。

手間を省くためにもう一つ、「ついでに」というキーワードも重要。キャベツをゆでるついでにほうれん草をゆでる、そのついでにゆで卵も作ってみる、というように、「ついでに」何か作ってみよう。基本的に加熱後であれば保存可能だ。下ごしらえが終わっていれば、次回以降の料理が楽になるだろう。「ついで洗い」「ついで切り」「ついで煮」「ついで揚げ」など様々な場面に通じる。

ここまで調理の時間短縮法を紹介したが、料理初心者は献立を考えるのも一苦労。「ネタ帳を作っておくのがよい」と高木さんは言う。よく使う食材ごとに作れる料理を書き出しておけば、迷ったとき参考にできる。「照り焼きは醤油2、みりん2、砂糖1……」というように味付けの割合をメモしておけば、冷蔵庫にある食材を組み合わせて新しい料理を生み出すこともできる。

「彩りを考えると、さらに献立が決まりやすくなる」と高木さん。彩りは赤・緑・黄色・白・茶色または黒の5色を入れるのが基本だ。この5色を意識することで華やかでおいしそうな印象になる。一品メインを決めたら、あとは足りない色を考えて献立を決めよう。

おかずが出来たら、お弁当箱に詰めるだけ。「大きいものから詰めるのがポイント」。最初にごはんを詰めて、次にカップに入ったおかずを詰める。隙間があれば、ブロッコリーやプチトマトを詰めて固定させること。

「料理は気楽に楽しんでやるのが長続きするポイント」と高木さんは話す。忙しい日には、和えるだけ、混ぜるだけの簡単なメニューでかまわない。肉や魚などの缶詰と野菜を合わせるだけでも一品料理ができてしまう。新学期、お昼が楽しくなるようなお弁当を作ってみてはどうだろう。
(原科有里)