慶應塾生新聞会 三田オフィス
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【論説】景気に左右される進路 大学で何をするのか

慶大の志願者数は、3年連続で増えている。しかし、理系学部の志願者数はどの学部においても軒並み減少し、3年連続で下降している。つまり、文系学部の人気が3年連続で大幅に上昇しているということだ。これは一体どういうことか。
 
慶大入学センターは、理由を特定することは出来ないと前置きした上で、「3年前までは景気不良による就職難のため、一般的に就職に強いといわれる理系学部を志望する傾向が強かったが、景気が回復したことで理系人気が下火になったのではないか」と分析する。
 
大学は、中学や高校での勉強とは異なり、自分の興味のある分野について専門的に学ぶことの出来る場所だ。しかし、景気好調により文系学部の人気が高まったということは、学生が自身の興味以上に就職の有利さなどに左右されているということを表している。
 
将来、自分の就きたい職に就けるか否かというのは、確かに大切なことである。学生が大学を選ぶ上で重きを置くのもうなずける。だが、就職での有利さを学部選びの根拠に据えるのはいかがなものか。
 
小学校、中学校、高校と12年間の集大成ともいえる大学での勉強。それまでとは違い、初めて自分の意思で自由に学びたいものを選択して学ぶことが出来る。自由を得たにもかかわらず、景気や将来の不安などの外的要因に左右され、自分の気持ちに正直にならない。学びたいことを学ばないというのは非常にもったいない。
 
学歴を得るためだけに授業をこなすのではなく、面白いと思える授業に出会ってほしい。これは何も学部の選択だけに限った話ではない。大学に入った後にも言えることである。
 
就活のためとインターンシップへ通ったり、就職に有利と言われるゼミに入ったり、常に「就職」にとりつかれてはいないだろうか。何かの選択をするとき、無意識のうちに就職を意識し、その選択肢を狭めてはいないだろうか。
 
もちろんインターンをすることが悪いわけではなく、そこから得られるものがあるのは確かだ。しかし最後の学生生活、本当に自分がやりたいことは何か、と考えることも大切なのではないだろうか。
 
一見何もなさそうな道にこそ、新しい発見が落ちているかもしれない。偶然の出会いは、そのような場所にしかない。遠回りだって、決して無駄なことではない。