慶應塾生新聞会 三田オフィス
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「マインドフルネス」で集中力を高めよう

受験シーズンが到来した。受験生にとっては非常に大事な時期、試験に集中する以前に不安が先走ってしまう人も多いのではないだろうか。今までの努力の成果を最大限出すためにも、万全の集中で挑みたい。というわけでこの度は「マインドフルネス」という手法に注目し、慶應義塾大学医学部専任講師の佐渡充洋氏に話を聞いた。

「マインドフルネス」には様々な定義があるが、現在、医療や一般社会で実践されている「マインドフルネス」は、元々仏教の修行の一環として取り入れられていた「瞑想」を、日常生活のなかで活かしていくためにプログラム化された手法ともいえる。医療では主にうつや不安などの症状を改善するために用いられている。

人は落ち込んでいる時は過去に注意が向き、不安を感じる時は未来に注意が向く。受験においても、「あの問題ができなかった」という後悔や「失敗したらどうしよう」という不安が付き物だろう。しかし、こうした不安と上手に付き合えないと、頭の中でこうした思考が反すうして精神的に追い込まれ、現在に意識を向けることができなくなる。その結果、集中力が落ち、ストレスが溜まってしまう。佐渡氏は、「合否の結果がある以上、ストレスは付き物。しかし、失敗したら……と考えてばかりだと、実際以上にストレスが膨れ上がる。それをなくしてあげることが大事」と語る。

この悪循環を解消するのが「マインドフルネス」だ。「意図的に、今この瞬間に、価値判断をすることなく、注意を向けること」という定義は、過去や未来に固定されてしまった意識を今に向けるという意味を持つ。つまり意識のコントロールをする訓練なのである。

では、具体的に何をすればいいのか。あまり時間がない人でも実践できる方法がある。1~2分間、目を閉じてただ自分の呼吸のみに注意を向けるだけでも効果はあるという。呼吸の音、お腹の膨らみなどに注意を向け、雑念がこみ上げてきたり他の周囲の音に気が散ってしまったりしたら、そのことを責めずに、ゆっくり呼吸に意識を戻す。筆者も実践してみたが、簡単なようで実は難しい。だが少しの間でも不安から離れ、心を落ち着かせることができる。会場までの電車の中や、会場で自分の席に着いた時にでも、実践できそうだ。

「3分間呼吸空間法」も手軽に行える実践法だ。やり方は、3ステップ。まず今ある思考や感情、感覚にただ「気付く」こと。次に散らばっていた注意を自分の呼吸のみに集中させること。最後に呼吸への集中を全身にも広げること。これらを3分で行うことで落ち着きを得ることができる。毎日決まった時間や、ストレスを感じた時に行うのが望ましいそうだ。

ただ、注意してほしいのは、あまり効果に期待しすぎないことだ。逆効果になることもあるという。また「マインドフルネス」は、少しやるだけでも不安から離れてリラックスできるが、長期的に実践することで効果が高まるので、短時間でも地道に行うことが望ましい。「マインドフルネス」についてさらに詳しく知りたい場合は、関連本やワークショップを参照するのも良いかもしれない。

試験前の緊張の中、この新聞を受け取ってくれた受験生の皆さんの力に、ほんの少しでもなれただろうか。精一杯実力を発揮できるよう、心から祈っている。
(杉浦満ちる)