福澤諭吉記念文明塾の体験セミナーが先月18日、三田キャンパス南館2B42教室で行われ、新日本有限責任監査法人の経営専務理事である大久保和孝氏が「これからの時代に必要とされるリーダーとは」と題した講演を行った。

大久保氏は、現代はグローバル化や産業構造の変化などによって社会における価値が多様化、複雑化し、唯一の解決策が見出しにくい時代であり、過去の延長線として今までと同じことをするのでは課題を解決できないと述べた。今後は、一方的にチームを引っ張るリーダーではなく、新たなリーダー像が求められると話を展開した。

大久保氏はリーダーシップに必要な要素として、「マクロ的視野に基づく考察」、「本質を理解できること」、「人に伝達する能力」を挙げ、新しい社会の価値観に適応したリーダーには、他人事を自分事として捉えることと対話が必要になると述べた。物事を決める際、相手を論破して決着をつけるのではなく、互いを尊敬し、共有と理解に基づく着地点を探ることが重要であるという。

物事を白か黒かに分けて考えがちだが、そのどちらでもない「真ん中」に解決策が見つかることもあり、現代社会では、「真ん中的思考力」こそが重要と大久保氏は説く。真ん中的思考力を持つためには、新しい視点を与えてくれる、他者との対話が欠かせない。一方の意見だけを取り入れて決めるリーダーより、共感型のリーダーは支持を得られるのである。最後に、知識の取得よりも、持っている知識をいかに活用するかが重要であると講演を締めくくった。