慶應塾生新聞会 三田オフィス
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【ART COLUMN】マリメッコ展

白地に大胆にプリントされた鮮やかなケシの花。バッグや服、時にはインテリアなどで、多くの人が目にしたことのあるデザインだろう。フィンランドのデザインハウス「マリメッコ」の看板ともいえるデザイン『ウニッコ』だ。創業から60年以上もの間、北欧のライフスタイルを世界に広めてきたマリメッコの展示「マリメッコ展ーデザイン、ファブリック、ライフスタイル」が、2月12日まで渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開かれている。

マリメッコは「伝統的な家庭環境と、変化し続ける世界の新しい生活環境とを結びつける」というコンセプトの下、1951年にアルミ・ラティアによって創業された。展示では、長年マリメッコを支え続けたデザイナーたちによるファブリックとドレス、そして下絵のスケッチなどを見ながら、マリメッコの歴史を辿る。

展示を見ると、同じマリメッコの製品でも時代やデザイナーによって感じる印象が大きく異なることに気づく。中でも、創業当初から7年間、服とファブリックのデザインを手がけたヴオッコ・ヌルメスニエミ抜きでマリメッコの歴史は語れない。彼女のデザインした服の特徴は、ほとんど「くびれ」がないことだ。生地の柄を最大限生かすために、裁断を極力抑えたのだ。そして、そのシルエットには、戦後の女性を解放したいという思いも込められている。従来の締め付けが強いドレスからくびれをなくし、より動きやすいものへと形を変えることは、当時を生きた女性たちが押し付けられていた伝統からの脱却を意味していた。

また、ヌルメスニエミはファッションとデザインを別物として捉えていた。「ファッションとは、世間の流行りに追随してものを作ること。デザイナーは、他を真似るファッションではなく、今まで誰も成したことのない、新しいものを作り上げるデザインをすべき」という信念があった。彼女の革新的で、力強いデザインは、戦後多くの女性に受け入れられる。

マリメッコには脇阪克二という日本人デザイナーもいた。マリメッコのファブリックには、フィンランドの伝統的なモチーフや、自然を抽象的に表現したものが多い。しかし脇阪の作品は、具象的でどこか懐かしい雰囲気を持つ。ファブリック『ユメ』は小さい頃に見た夢の中の世界を外にそのまま持ち出したよう。『イヴ』からは、わずかながら日本の原風景を垣間見られるような印象を受けた。

北欧独特の光や、川、湖の澄んだ水、広大な山や森、そんな自然の中で育まれるライフスタイル。いまやマリメッコはファッションの枠を超え、北欧の自然や生き方というコンセプトそのものを世界に発信している。もし「北欧らしいもの」に惹かれるのなら、マリメッコ展に足を運んでみよう。その理由の一片を見つけることができるかもしれない。
(友部祥代)