先月号で、慶大の学部生1‌6‌7‌6人を対象にしたアンケート「慶大生の恋愛事情2‌0‌1‌6」を実施した。慶大生の恋人がいる割合は44%、恋人がいない(恋人が欲しい)割合が44‌.‌5%、恋人がいない(恋人はいらない)割合が11.5%だった。この結果を踏まえ、慶大出身で『婚活時代』『女子と就活』などの著者、ジャーナリストの白河桃子氏に話を聞いた。

まず、恋人がいる(「リア充」)率に対して、「さすがは慶應、優秀」と、一般の20代を上回ったことを高く評価。しかし、7割くらいの学生が「リア充」のイメージがあったそうで、「慶應ですら44%なのね」というのが本音。

「恋人が欲しい」人の割合も標準より高いと言う。周りが「リア充」だから、「非リア充」の人も「リア充」になりたいと思うのではないかと指摘する。「リア充」率が、「恋人が欲しい」率に影響を与えているようだ。

しかし、「リア充」率が比較的高いとは言え、56%の塾生に「恋人がいない」。これはなぜか。様々な理由が考えられるが、一般的には、「恋愛のために行動することが面倒臭い」と思う若者が増えていることがあるという。あえて自分から行動を起こさず、相手からのアプローチを待ち続ける。いわゆる、「待ち受け」状態になってしまうのだ。

また、SNSなどで自分の好意を周りに知られることを恐れ、アプローチしづらくなくなったことも考えられるという。さらに、「サークルクラッシャー(サークルの輪を乱す人)になりたくない」など、空気を読んだために身動きが取れない人もいるようだ。学生ならではの理由である。

では、社会に出れば状況は好転するのか。そうではない。むしろ、社会人になってからの方が恋愛は難しいそうだ。社会人になってから気になる人が出来たとしても、仕事の絡む人間関係はさらに複雑になる。また、学生時代から既にキープされていることもよくある。

特に女性は、結婚を見据えて、恋人に同等学歴以上を求めがちである。周りのほとんどが同等学歴である学生時代は、恋人探しにベストな環境と言える。

中でも慶大はサークル活動で出会いに恵まれている。東大や早稲田には学内女性お断りのサークルもある一方で、慶大の大学公認サークルは塾生のみで構成されている。「社会に出た瞬間、ただの異性の友人がとても貴重な存在になる」と忠告する。今一度、学部、ゼミ、サークルの異性の友人を思い返してみては。

白河さんは、「学生時代の恋愛はおすすめ」と語る。社会人は、名刺を交換して出会いが始まるが、学生は、お互いが何者でもない時に出会えるからだ。

「非リア充」脱出の第一歩は、「待ち受け」をやめ、自分から積極的になることだ。「恋愛経験の少ない人がほとんどなんだから、自分がリードするくらいの気持ちで行っても大丈夫」と、白河さんはアドバイスする。勇気を持ってアプローチしてみよう。

(玉田萌)

【連載】学生文化研究所