毎年バレンタインデーになると大量にチョコレートをもらいます。1日中飽きずにチョコを食べることはできますか。(法2男)
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この依頼を受け、所長は「男の敵だ!女性所員に担当させよう」と考え、所員A(文1女)を呼び出した。
「甘党の上に、よく食べる。しかも、バイト先がチョコレート店だろう。1日チョコレート生活をしてみなさい」
単純なAはたちまち目を輝かせ、二つ返事で引き受けた。しかし、1日中糖分を摂り続けることに恐怖を感じたので、好きなお菓子を半月我慢し、当日に臨むことにした。
前日、スーパーの隅から隅までのチョコレートを買い込んだA。周りにジロジロ見られるので、恥ずかしいことこの上ない。
当日午前10時を回った頃、いよいよ開始しようとしたAの家に、近所に住む所員M(文1女)が、何やら紙袋を持って登場。 「噂を聞きつけてきちゃったー」明らかに食べる気満々の様子だ。
2人は手始めに、ミルク味の板チョコから食べ始める。普通に美味しい。「こんなの余裕じゃん」と言いながら、続いてトリュフ型のチョコ3種類を一気に開封。凄まじい勢いで完食するが、表情が曇り始めた。
そこで、新製品というピスタチオ味の板チョコに手を出してみる。「食べやすーい」とは言いながらも、苦しそうだ。
その後は、チョコレート味のクッキーなどを数種類開けて食べ切ろうとするも、空気が重い。バレンタインの話題を出すが、2人は本命チョコをあげたこともあげる予定もないらしい。話すことで気を紛らわすつもりが、ネタ切れである。
午後3時前、「何か飲みたい……」と言うAの目の前に、「いいものがあるよ!」と、持ってきた紙袋からMは得意げに何やら取り出した。青汁である。
早速水に溶かして飲んでみると、舌が麻痺しているのか飲みやすい。胃が癒されているようだ。
そこで、青汁を更に飲みやすくしようと、2人は3種類のドレッシングを投入。まずい。あまりのまずさに、ここで1時間ほど休憩することにした。
AがファンだというグループのDVDを、観始めた。歌って、踊って勇気づけられた2人は、おみくじ式のチョコを開けることに。先に引いたMの恋愛運は小吉。続いて引いたAは大吉。テンションが上がって、再び食べる、食べる。
午後6時、2人の胃はもたれて、座っていることもままならなくなってきた。普段は飲めないブラックコーヒーも、美味しく感じるらしい。「もう、止めよう」さすがの2人も、ここでギブアップ。すぐに梅干しを食べ始めた。
8時間で2人が消費したチョコレートは全部で11種類、132個。カロリーは…公表できない。とりあえず、翌日のチョコレート店バイトでAが吐きそうだったことは、言うまでもないだろう。
モテすぎても、1日でチョコを大量に食べることはおすすめできない。
(いりこ)