慶應塾生新聞会 三田オフィス
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喊声 2016年10月号

息を吸うと、風とともに金木犀の甘い香りが漂ってくる。私は、秋の訪れを感じさせるこの香りが好きだ。心が穏やかになり、いつもより外に出るのが楽しくなる。素晴らしい香りの一方で、花は控えめなことから、金木犀の花言葉のひとつに「謙虚」という言葉がある。

私たちは謙虚や思いやりの心を持つことができているだろうか。2‌0‌2‌0年に迫る東京オリンピック。今年オリンピックが開催されたリオデジャネイロでは、車内で観光客や車いすの方に笑顔で席を譲っていたという話を耳にした。

思いやりや謙虚さは、日本人の美徳としてよく表現されるが、今の日本では、我先にと席に座る光景をよく目にする。今のままでは、日本人の美徳を感じてもらえるには程遠いのではないだろうか。周りの人への思いやり、謙虚な心をもつことは日本人として、いや、人としての強さ、魅力を感じる。

秋と謙虚に関連して、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という有名なことわざがある。稲が実を熟すほど穂が垂れ下がるように、人格者ほど謙虚であるという意味である。実りある秋。金木犀や稲穂のような心をもつことができているか、もう一度考える機会にしたい。
(小林千鶴)