慶應塾生新聞会 三田オフィス
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【学生文化研究所③】「カフェとSNS」

記者がツイッターにいちごが色鮮やかな期間限定ドリンクの写真を投稿すると、10分間で5人から「いいね」があった。

キャンパスの周りにも数多く存在するカフェ。中でもチェーン店のカフェはコーヒー、紅茶といった定番メニューのほかに工夫の凝らされた期間限定メニューが置いてあることも多く、若者を中心にテレビやSNSを通じてたびたび話題になっている。見た目にも華やかで食欲をそそられるドリンクに、多くの学生が夢中になっている。カフェは、現代の学生にとってどのような存在なのだろうか。

塾生新聞会が大学生145人にアンケートを実施したところ、8割の学生が月に1度以上カフェを利用していると回答した。そのうち4割は新作が出ると毎回、期間限定メニューを飲んでいるという。これはコーヒーなどの定番メニューを頼む割合と同じだ。

これに関して博報堂生活総合研究所上席研究員の夏山明美さんは、「今では一年中同じものを食べられるようになり、旬を意識しにくくなった。季節感を重視した期間限定のメニューは新たな旬の感覚を生み出しているのではないか」と分析する。また、マーケティングの観点から見ると、色あいを重視しフォトジェニックな見た目に仕上げることで、インスタグラムなどのSNSを通じた口コミ効果を狙う傾向があるそうだ。アンケートにおいてもSNSに載せるために期間限定ドリンクを飲む学生は1割ほど存在した。

また、同様のアンケートでカフェ利用者の4割が「カフェは癒しの空間」であると答えた。なぜ学生はカフェに癒しを求めるのか。「近年、親からの仕送りが全体的に減っているため、今どきの学生達は学業に加え、アルバイトに追われる生活をしている。海外旅行などの大掛かりなリフレッシュが出来なくなったからこそ、身近なカフェに癒しを求めるのではないか」と夏山さんは話す。確かに授業のない空きコマや放課後のアルバイトまでの時間に、学生達が息抜きがてらカフェに立ち寄る姿は珍しくない。忙しい毎日の中で、季節感のある飲み物が数百円で楽しめる場は大切にされているようだ。

期間限定ドリンクなどの「同じ」飲み物に大勢が飛びつく風潮はなぜ生まれたのだろうか。夏山さんは、「個性が重視されすぎることからの反動」を理由の一つに挙げた。生き方が多様化し、全世代共通の流行がなくなっていく世の中で、若者は同じものを共有する一体感を求めているのかもしれない。

それぞれの生活のそばにあり、気軽に楽しめるカフェで同じメニューを分かち合うことで、個人化が進む現代に生きる学生たちは心の拠り所を得ているようだ。
(小宮山裕子)

【連載】学生文化研究所