先月30日に閉幕した東京六大学野球春季リーグは、明大が全大学から勝ち点を獲得する完全優勝で3季ぶり38回目の優勝を決めた。明大はエース柳投手を中心とした盤石の投手陣を武器に、全大学に1敗しながらも他校の追撃を最後まで許さなかった。慶大は4月の熱戦を好位置で終えたが、5月は苦戦を強いられ、リーグ4位で春の戦いを終えた。
(香西朋貴)

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チームを牽引した加藤拓
チームを牽引した加藤拓
元より厳しい戦いが予想されていた5月ではあったが、立大に連敗。勝ち点を献上し優勝争いから脱落。早慶戦でも4季連続で勝ち点を逃すなど不甲斐ない結果で今季の戦いを終えた。早大第3戦の試合後大久保監督は「いいところを見せられなくて申し訳ない。天候の悪い中でもファンの方、塾生、OBが応援に来てくれていることにジーンとくるものがありました。本当に感謝です」と話した。



4月のリーグ戦同様、明大は柳、水野、立大は澤田、田村を中心に充実した投手陣を形成することができた一方、慶大は絶対的エース加藤拓(政4)頼みの苦しい台所事情となった。立大との第2戦でも計算できる投手の駒不足で、前日1‌0‌0球を超える投球をみせた加藤を2日連続で途中から投入しなければならない状況を作ってしまった。また、その頼りの加藤も2本の本塁打を含む4失点と立大に逆転を許し、早慶戦でも昨年のチームと比べ得点能力が低い早大打線にも10‌被安打、10四死球で4失点。加藤は今シーズン1‌0‌6‌9球を投じ、登板過多による疲労なのか、リーグ戦終盤は自慢のストレートの球速も伸びず、リーグ戦開幕当初の投球とはほど遠い投球内容だった。

結果だけ見れば、4位と不甲斐ない成績ではあったが、1年生の新戦力の台頭など秋季リーグへ大きな収穫もあった。

春季リーグの投手陣は加藤の孤軍奮闘の状態だったが、1年生ながら早慶戦の第2戦で先発に抜擢された高橋佑(環1)は毎回ランナーを出し、ピンチを作るも、要所を締め5回途中2失点と秋季リーグに向け期待が持てるピッチングを見せた。

慶大史上初、1年春でベストナインに輝いた柳町
慶大史上初、1年春でベストナインに輝いた柳町
野手陣の中でも柳町(商1)が高校時代あまり守ることのなかったセンターで全試合に先発出場し、慶大野球部史上初となる1年生春でのベストナインに輝くなど本来の力を出すことができずに終わった慶大打線を1年生ながら牽引し、大器の片鱗をうかがわせた。大久保監督は早慶戦後のインタビューで「まだ明大戦の走塁や早慶戦の2戦目9回の守備のミスなど、走攻守にまだ課題があるが、1年生として良いスタートを切ってくれた。(4年間通じて)1‌0‌0安打を目指してほしい」と柳町の今後に大きな期待を寄せている。

そして出場していない選手も重田主将(環4)を中心に劣勢でもベンチで声をかけ合う姿、一塁へのヘッドスライディングなどチームで最後まで戦う姿勢に心を打たれた人も多くいることだろう。大久保監督も「選手たちは僕が目指したいことに必死に食らいついていこうとしてくれている」とチームに手応えを感じている。

昨年までの中心選手が多く抜けた穴は大きく、春のリーグ戦でその穴を完全には埋めることができないという結果になってしまったが、今季の悔しい思いを晴らすべく、秋のリーグ戦では昨年のチームでも成し得なかった六大学の頂を目指し、再び慶大野球部の躍動を期待したい。
5 月 30 日までの最終結果
5 月 30 日までの最終結果