TOEICⓇテストは5月29日(日)実施予定の第210回公開テストより、問題の一部に新形式を導入する。よりオーセンティック(実際的)な問題に改訂されるが、テストのクオリティや難易度、解答時間、スコアの算出方法などに変更はない。

TOEICⓇテストはアメリカの非営利組織Educational Testing Service(ETS)によって開発、制作されている世界共通のテストであり、英語を母国語としない者を対象とする。多数の企業や学校が、各々に提示したスコアを社員採用や単位認定などの要件としており、国内では2015年度に約255.6万人が受験した。

(一財)国際ビジネスコミュニケーション協会「TOEIC公式サイト『新形式問題導入に伴う問題構成の変更点』」より TOEICはエデュケーショナル・テスティング・サービス(ETS)の登録商標です。この印刷物はETSの検討を受けまたその承認を得たものではありません。
(一財)国際ビジネスコミュニケーション協会「TOEIC公式サイト『新形式問題導入に伴う問題構成の変更点』」より
TOEICはエデュケーショナル・テスティング・サービス(ETS)の登録商標です。この印刷物はETSの検討を受けまたその承認を得たものではありません。
TOEICⓇテストの出題形式変更は、2006年の改訂以来である。日常生活やグローバルビジネスにおける英語のコミュニケーション力を測るテストであることから、より現代のコミュニケーションに合った問題内容へと更新する必要があった。時代の流れとともにコミュニケーションも変わっていくため、その変化を問題内容に反照し、また将来目指していく環境の中で求められる英語力を反映させるため、問題形式を一部改訂することとなった。

具体的な変更点として、リスニングセクションでは、パート毎の設問数の変更に加え、3人以上の会話のやりとりや、従来のフォーマルな会話より自然な会話形式の問題など、より実際的な会話内容が取り入れられる。そして図や表といった視覚情報と関連づけて解答する問題や、会話やトークの中で話し手が暗示している意図を問う問題も出題される。


リーディングセクションの変更点として、リスニングと同じく、パートごとの問題数の変更、文脈全体から推測できる意味を問われる形式の問題も出題される。インスタントメッセージやオンラインでのチャットなどの形式で複数名がやりとりを行う問題、その他3つの関連する資料を読んで理解する問題も加わる。

テストのスコアやフィードバックが示される公式認定証では、リスニングセクションの評価項目に「フレーズや文から話し手の目的や暗示されている意味が理解できる」という項目が増える。しかし、スコアの算出方法や5点刻みの点数表示方法はこれまでと変わらない。

一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会の髙津誠さんは、「新形式のテスト受験の際、パートごとの設問数に変更があるため、受験前に公式サイトなどで変更箇所を確認する必要がある」と言う。

10年ぶりのリニューアルではあるが、時代に即したコミュニケーション場面により適応した出題形式になるので、学生にも解きやすくなるのではないか。評価基準に変更はないので、アップデートされたTOEICⓇテストもこれまでと同様に受験でき、現在の形式のテストのスコアと比較することも可能である。

留学や就活、プレイスメントテストなど、学生生活においても様々な機会でお世話になるテストである。本番でもしっかりと実力を発揮できるように、変更点も充分に把握した上で臨めるようにしたい。
(三谷美央)