デジタルカメラに代わり、スマートフォン(スマホ)で写真を撮る人が増えている。SNSで撮った写真を共有して楽しむ人も多い。せっかくなら、魅力的な写真を撮りたいところだ。スマホで上手に写真撮影する方法をiPhone写真家の三井公一さんに聞いた。

最初に押さえたいのが持ち方だ。スマホは軽くて扱いやすいため、つい片手で持ってしまうが、両手でしっかり構えることが前提である。 

春は新しく出会った人と撮影する機会も多いだろう。人物写真は、とにかく「楽しそうに撮れることが一番」と三井さん。笑顔はやはり大切だ。一味違う写真を撮るには、「その場のアイデアが重要。小道具を持ってみたり、木に寄りかかってみたり」してみよう。いつも似たようなポーズをしがちだが、周りにあるものを使って工夫すると面白い。アングルを変えると、また違う印象に。「全身」「半身」「顔だけ」と3パターン撮ってみてもよい。

春を代表する花、桜を撮るときもポイントがある。接写撮影では、まず「どの花が一番きれいで撮りやすいか」を考える。光が当たっている花を選ぶようにしたい。「きれいな花のきれいな部分に、踏み込んで撮るといい」

気を付けたいのは、機種ごとに決まっている最短撮影距離だ。それよりもレンズを被写体に近づけると、焦点が合わないため、一定距離を保つ必要がある。風が吹いているなら、やむまで待つか、軽く枝を持つとよい。遠くから桜全体を撮るときは、逆光もきれいだ。

写真は記者がレクチャーをもとに撮影したもの
写真は記者がレクチャーをもとに撮影したもの
「いつでも主題は明確に」と強調する。たとえば、桜とともに人物を撮るとき、桜はあくまでも背景。メインである人物に寄って撮るようにしたい。同時に、自分の影など余計なものが入らないように注意する。

足もとに咲く花の場合は、しゃがんで下から撮ることで、青空を背景にできる。子どもや犬なども同様。自分も同じ目線になってみると様々な角度から写真が撮れる。

川や池など「水」を撮るときは、キラキラ輝いている様子を撮ろう。これは、料理写真にも通じる。「シズル感」ともいい、照明による「テカリ」や湯気を撮るとおいしそうに見える。

「被写体の良いところを見つけることが大事」。手軽だからこそ、何気なく無意識に写真を撮っているかもしれない。ポイントを押さえ、被写体の良さが引き立つように工夫してみよう。最高の一枚に出会えるはずだ。
(原科有里)

三井公一さん公式HP