端正な顔立ちに、1‌8‌0センチの高身長。一見クールな出で立ちの中に時折見せる笑顔が、優しい雰囲気を作り出す。「王子様」と見紛うそのルックスの持ち主こそ、2‌0‌0‌9年度ミスター慶應グランプリで、現在は俳優として活躍中の古川雄輝さんだ。フジテレビ系「月9」枠で昨年放送された人気ドラマ『5→9~私に恋したお坊さん~』での知的な役どころが記憶に新しい。今をときめく、そんな義塾の先輩に、塾生時代と現在のお仕事について話を聞いた。(平沼絵美)

7歳から15歳までをカナダで過ごした。「高校は日本人のいる学校に」と英語と日本語で同時に学ぶことのできる慶應義塾ニューヨーク学院に進学。高校時代は寮生活を送りながらダンス部に所属し、ブレイクダンスに没頭した。

慶大理工学部に進学後は、当時興味のあった自動車の仕組みについて学ぶことを志し、システムデザイン工学科で制御理論に関する研究室に所属した。

順調に研究を進め、そのまま大学院に進学することを予定していた古川さんの運命の歯車が動き始めたのは、大学3年生のときのことだ。同級生の勧めで、2‌0‌0‌9年度のミスター慶應コンテストに応募した。その結果グランプリを受賞し一躍、有名人となる。

ミスター慶應としての活動が始まり、古川さんは各大学のミスターを集めたホリプロ主催の新人発掘オーディションに参加した。その際に初めて芝居に触れ、純粋に楽しいと感じた。大学生活の中で初めて、自分から職業にしたいと思えるものに出会えたという。

後輩となる新入生へ「入学おめでとうございます。4年しかない大学生活、計画的に自分から行動して、有意義に楽しんでください」とメッセージを送った。人生の転機は、突然に訪れる。これから始まる大学生活が実りあるものになるかどうかは、自分次第だ。




* * * * *

―大学生活の中で特に印象的だったことは何ですか
Revolveというストリートダンスのサークルの仲間と、三田祭でブレイクダンスを踊ったことです。僕が振り付けもしました。

サークルの仲間とは大学生活中ずっとつるんでいました。一番仲の良かったメンバーとは今でもだいたい週に一回のペースで会っています。社会に出ると、彼らのように深く関わりあえる仲間に出会うことが難しいです。

 

―塾生時代、お昼には何を食べていましたか
ひようら(日吉駅周辺)にある、「らすた」のラーメンはよく食べていました。その他はほとんど、サークルの仲間と矢上の学食で集まって肉料理を食べていました。

 

―サークルでは代表を務められていたそうですね
2‌5‌0人規模の大所帯をまとめ上げるのは大変なことでした。今のRevolveがどんな雰囲気になっているかはわからないですが、僕が代表だった頃は後輩に対してかなり厳しく接していました。

昨年の三田祭の公演も見に行きました。「みんな若いなあ」と、思い切りダンスできることを羨ましく思います。




―ミスター慶應を経験して、得たものは何ですか
振り付けのあるダンスとは違って、ミスター慶應の活動ではありのままの、フラットな状態の自分で人前に出るということがとても新鮮でした。この経験は今いる芸能界でのお仕事にももちろん直結しています。

また、当時のミスター慶應の実行委員の一人が、のちに制作会社に入って、その人のおかげで僕は『イタズラなkiss』のプロデューサーの目に留めてもらいました。学生生活で出会った人が、社会に出た後の人生の軸を決めると言ってもいいと思います。

そのうち、一緒にミスター慶應で活動した岩田剛典くん(EXILE)とも再会したいです。

 

―俳優としてのお仕事の中で、転機となった作品は何ですか
先ほどの『イタズラなkiss』です。少女漫画が原作の作品で、僕は入江くんという主人公を演じました。特に中国でヒットして、海外での知名度を上げることができました。

 

―今後の目標は何ですか
まずは俳優として賞を取ることです。ファンの人に俳優として認められるのはもちろん、客観的に実力を評価されるようになりたいです。

そして色々な役に出会うことです。ここの所ラブストーリーに出演させていただく機会が多かったのですが、30歳になるまでにひとつのイメージを壊していきたいです。

 

 

 

【古川雄輝さんプロフィール】
古川雄輝(ふるかわ・ゆうき)
1987年12月18日生まれ。東京都出身。2010年に芸能界デビュー。最近の主な出演作は、映画『脳内ポイズンベリー』(2015)、映画『ライチ☆光クラブ』(2016)、ドラマ『5→9~私に恋したお坊さん~』など。今後、日韓合作主演映画『風の色』(2016年公開)、舞台『イニシュマン島のビリー』(3月25日~4月10日/世田谷パブリックシアターほか)などに出演する。