1リットルが2本で4500円。これは何の価格だと思われるだろうか。実はこれ、トマトジュースの値段である。

 11月8日、日吉キャンパスでは慶應義塾創立150年記念式典が開かれた。SFCでは、その模様を中継し、会場ではペンやネクタイなどの記念グッズが売られていたが、来場者の注目の的となったのは、高級トマトジュース。その名も「大農」だ=写真。

 ちなみに、「大農」という言葉は、福沢諭吉先生著の「学問のすゝめ」の中の一節「農たらば、大農たれ」から取り、その題字を総合政策学部初代学部長・加藤寛名誉教授が書くという徹底ぶり。

 ラベルには「糸魚川の豊かな土壌で、慶應義塾大学の研究成果を生かし大切に栽培されたトマトを使いました」とある。市販のペットボトル入りトマトジュースとは何が違うのだろうか。この高級トマトジュースを開発した神成淳司教授に裏話を聞いてみた。

 「糸魚川にある試験農場で育てたトマトに食塩を加えただけです。トマトにはそもそも加工用と生食用があるんです。市販のトマトジュースは、加工用を使っていますが、今回は桃太郎という生食用トマトの代表格を使いました」

 生食用の桃太郎トマトは大きいもので1個数百円する。また売上の一部を150年記念事業募金へ寄付するというから、妥当な価格設定だろう。

 あとは、気になるお味。筆者も飲ませていただいたが、市販の製品のような酸っぱさがなく、トマトスープのよう。トマトジュースで創立150年を祝うという、なんだか小粋な一杯だった。

(宮島昇平)