慶應義塾は、3Dバーチャルコミュニティ・サービス「セカンドライフ」内で株式会社電通との共同研究を行い、同空間内に「慶應義塾セカンドライフキャンパス」を設置する。また、セカンドライフキャンパスにおいて、今まで慶應義塾で蓄積した映像コンテンツなどを公開する。大学の正規科目の講義をセカンドライフ内で公開するのは日本で初めてとなる。

(川上典子)

 7月31日、慶應義塾は株式会社電通(以下電通)と3Dバーチャルコミュニティ・サービス「セカンドライフ」内で共同で研究を行うことを発表した。共同研究に伴い、8月に電通がセカンドライフ内に開設する仮想都市空間「バーチャル東京」内に、共同開発拠点「慶應義塾セカンドライフキャンパス」を設置する。

 バーチャルコミュニティ・サービスとは、米国サンフランシスコに本社を置くリンデンラボ社が開発・運営するインターネット上の三次元仮想社会で、世界100カ国以上からの参加者を持つ。この仮想空間の中で住民は家、乗り物等様々なものを自ら創造し、プレイできる。

 「バーチャル東京」は85万平方メートルに及ぶセカンドライフ有数の仮想都市である。セカンドライフ内の面積はSIM(256×256メートル、16エーカー)を単位とし、「慶應義塾セカンドキャンパス」には当面1SIMが提供される。 慶應義塾は、セカンドライフ内における生活者の行動、およびセカンドライフ内での独自の仮想通貨「リンデンドル」を用いて経済活動について研究を行う。

 また、「慶應義塾セカンドキャンパス」では、今までに蓄積されてきた教育映像コンテンツを用い、講義の公開を行う。SFCでは既に、KEIO University SFC Global Campus(SFC‐GC)を通じてキャンパス内の講義を学外の学習者と共有する遠隔授業の手法を培ってきた。

 SFC‐GC講座は、SFCで秋学期に実施されている授業を収録し、その収録した授業内容をReal Video形式にデジタル化された映像、音声、画像およびHTML形式の授業資料の形にし、その組み合わせによって提供されており、約4000講義の公開実績がある。このような今までの経験を基に、セカンドライフキャンパスでは新しい教育のあり方を検討する。

 この試みに慶應義塾からはSFC研究所から村井純 環境情報学部教授、稲蔭正彦 環境情報学部教授、金子郁容 政策・メディア研究科教授、國領二郎 総合政策学部教授らが参加する。

 セカンドライフ内での大学正規講義公開は日本初の試みであり、3Dバーチャルコミュニティにおける新たな可能性への第一歩を踏み出した。