文学部125周年記念講演会・シンポジウムが先月20日、慶大三田キャンパス南校舎ホールで開催された。

鈴木孝夫名誉教授
鈴木孝夫名誉教授

この催しは1890年に文学部の前身である文学科が発足してから今年で125周年を迎えるのを記念して開かれたもので、塾員、教員をはじめ多くの義塾関係者が参加した。


 
冒頭で関根謙文学部長が挨拶を述べ、「これからの文学部のかたちを考える機会にしたい」と催しへの期待感をみせた。

 



メインイベントである記念講演には鈴木孝夫名誉教授が登壇し、「グローバル化時代の人文学」と題して文学部のこれからの役割やあり方を昨今の国際情勢に照らし合わせながら提唱した。「欧米型の資本主義システムがほころび始めている今、私たちがとるべき行動とは何か」など、所々にユーモアを交えた興味深い話に会場の聴衆は聞き入った。

 

議論するパネリストら
議論するパネリストら
講演会に続いて設けられたシンポジウム「文学部の将来像―日本の大学におけるリベラル・スタディーズの意義―」では、上智大学の小林章夫前文学部長や国際基督教大学学長の日比谷潤子氏など、他大学からのゲストを招いての意見交換が行われた。

 

各大学とも近年の取り組みや今後の展望を発表したほか、予算獲得のための工夫を共有するなど白熱した対話が展開された。特に文部科学省が現在、国立大学の人文科学系学部を縮小する動きを見せている事に関して、早稲田大学文学学術院長・文学部長の越川房子氏は動画を使って例を示しながら「短期的な見方だけでは長期的な利益を取りこぼす可能性がある」と指摘。文学部をはじめとする人文科学系学部の重要性は今後とも不変であることを他のパネリストと確認した。

 

講演、シンポジウムともに忌憚のない自由な主張が繰り広げられ、催しは会場の熱気とともに幕を閉じた。