投票率の向上を目指す

選挙管理委員会(選管)は、4月に実施予定の全塾協議会事務局長・次長再選挙において、ウェブ投票の導入を検討していることを、幣紙の取材で明らかにした。投票率の向上を目的としており、現在、投票システムの構築が進められている。また、それに伴い、3月25日の全塾協議会定例会で選挙規則の一部改訂が決議された。ウェブ上での投票は全塾協議会にとって初の試みとなる。     
(和田啓佑)

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ウェブ選挙は全塾協議会が独自に用意した投票システムを用いて行われる。実際に選挙にウェブ投票を導入するかは、動作のテストなど安定性を確認したのち最終的な判断を下す予定だ。

導入の背景として、全塾協議会事務局長・次長選挙における慢性的な投票率の低迷がある。投票率はここ5年で20%を上回ったことはなく、毎年10%から15%の間を行き来している状況だ。全塾協議会の選挙規則に定められた有効投票率は10%だが、昨年12月に実施された選挙ではそれを下回る9・67%を記録、2009年度の選挙に続いて再選挙が決まっている。

選管委員長の河野維一郎さん(経4)は投票率の低迷について「投票所に足を運ぶことが弊害になっているのではないか」と語った。その上で「ウェブ上から投票できるようにすることで、投票率の向上が見込める」と期待を示した。

ウェブ投票にあたって重要となるのが、二重投票の防止だ。河野さんは「投票時に学籍番号を入力してもらい、それを選管のデータベースと照合して、複数回投票していないか確認する」と対策について説明、さらに「再選挙前に塾生に送付するハガキにパスワードを記しておき、学籍番号と合わせて投票者を識別する」と述べた。システム上、個人を特定することはできないようになっているという。

選管は、今回の試みの結果次第では、以降の選挙にも積極的にウェブ投票を採用する見通しだ。

一方で、各個人に割り当てるパスワードを毎回ハガキで送る方法は、印刷費などでコストが大きくなるという懸念もある。12月の選挙の際にも、告知のハガキに割くコストが一部から問題視されていた。河野さんは「紙やインクなどを工夫して、出来る限りのコストカットを行っていく」とコメントした。


【解説】全塾協議会は、慶應義塾大学塾生の最高意思決定機関。年間750円の自治会費を全学部生から徴収し、各自治体へ配分している。