走れ塾生!冬のマラソン特集 教授に聞く「マラソンブーム」

正月の風物詩である箱根駅伝にはじまり、冬はマラソンの季節だ。特に近年は陸上競技だけでなく、趣味としてランニングを楽しむ人が増えているようだ。今回は、このマラソンブームについて、教授から学生の声まで取材することで、多様な視点からマラソンブームについて分析した。(上山理紗子・笠原健生・玉谷大知)

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マラソンブームを解説する海老塚教授
マラソンブームを解説する海老塚教授

近年「走る」ことに魅力を感じる人が増えている。気軽にできる運動としてランニングやマラソンが注目され、スポーツ業界ではこれまで主流だったサッカーや野球、ゴルフに加えてランニング用のシューズやウェアが売り上げを伸ばしつつある。

どうして最近になってマラソンが流行りだしたのだろうか。走ることの魅力は何なのか。加熱するマラソンブームについて、慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科の海老塚修教授の話を伺った。




ブームの火付け役
日本の市民マラソンに火が付いたのは、1964年の東京オリンピックで円谷選手が活躍したことがきっかけだ。ただ、当時はコースの確保や運営、警備の配備が困難だったため大都市での開催ができず、マラソン大会は地方の小イベントにすぎなかった。

東京をはじめとする大都市が実施に積極的になったのは、平成の東京オリンピック招致運動が影響している。スポーツに親しむ都市としてアピールする際、大人数が参加するマラソン大会は恰好の企画だった。そうした背景をもとに誕生した東京マラソンなどがメディアで大きく取り上げられ、マラソンそのものに価値が生まれて新たな参加者の呼び水になった。
 一口に「マラソン」といっても、実際はハーフマラソンやジョギングなども含まれる。それらを合わせると、ランニング人口は、諸説あるがおよそ2000万人にも及ぶという。


地域への経済公開
市民マラソンの実施が地域に与える恩恵は、意外と少ない。大会はあくまで一過性のイベントにすぎず、連関した経済効果は望めない。よって、企業が営利目的で大会を主催することは難しく、国内のマラソン大会のほとんどは自治体の運営になっている。

それでもマラソンが人気なのは「健康志向」が高まっているからだ。数あるスポーツの中でもマラソンは特別な用具、場所、人数を必要とせず身一つで楽しめるので、忙しい現代人に好まれるのだろう。運動時間や距離も、自分の都合で調整できる。

大会に参加する意欲をもとに練習することで、自身の健康を意識するきっかけにもなる。自治体はそんな市民の健康改善運動の一環として、ランニングを推奨している。また、ともに一つのゴールに向かっていくことで、市民同士の絆が強まる効果も期待しているという。


どこまで続く?
今後もマラソン人口は増加していくだろう。既存の大会だけでは参加人数に限りがあり、出たくても出られない人がまだまだ存在するからだ。

例えば、2014年度の湘南国際マラソンではエントリーが集中しサーバーにアクセスができない状態になった上、募集開始30分足らずで締め切られた。マラソン大会の人気は、未だとどまることを知らない。

ランニングを習慣にしているのは、主に40代以上の大人や高齢者が中心で、ランニング人口における若い人たちの割合は低い。それでもシューズやウェアのオシャレ化やタブレット端末との連動による最先端の健康管理など、新たな魅力が加わることによって若い層からの人気も徐々に上昇していることも確かだ。健康のためだけではなく、「走る」こと自体が、ファッションの一種になっている。

一人で走ると自分の世界に浸ることができるし、仲間と走ると爽やかな汗をかくことができる。学生生活の一部に、ランニングを組み込むことも悪くないかもしれない。(玉谷大知)


【東京マラソン】
東京マラソンは、2007年から毎年開催されている、世界でも有数の規模を誇る市民マラソン大会だ。その始まりは、石原慎太郎旧都知事が大会の構想を発表した2003年まで遡る。東京オリンピック招致にむけたアピールの一環として誕生した。

新宿の都庁からスタートし、有明ビッグサイトでゴールとなる。日頃は車両用として使われる道路も大会のために閉鎖され、ボランティアの数はおよそ160万人。マラソンのコースには銀座、築地、浅草雷門などの東京名所が含まれる。日頃から人通りの多い道を走るため、応援者の数も他大会と比べて圧倒的に多い。都全体をあげた一大イベントになっている。

応募者数は、大会が開催されて以来右肩上がりで、第一回には3.1倍だった倍率が、今年度の第九回では10.7倍にもなった。応募者30万4825人のなかから参加権利を勝ち取った計3万6000人が参加する。開催は2月22日。


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