宿舎の受付の前で長かった受験生活が終わると、大学生活が目前に迫ってくる。新たな生活への期待が膨らむのと同時に、入学に向けた準備に追われることは間違いない。今回は実家を離れる新入生にとって選択肢のひとつになるであろう、寮での生活を紹介したい。

日吉駅から元住吉方面に10分ほど歩くと、慶大の寮のひとつである、元住吉宿舎が見えてくる。元住吉宿舎は2013年春にオープンした慶大生専用の寮である。13階建て全230室の内、4・5階が留学生専用のフロアとなっており、男女合わせて40人程度の留学生が住んでいることが特徴的だ。寮の中で国際交流を行えることは、元住吉宿舎における魅力であろう。

そして留学生が住む慶大の寮には、彼らをサポートするために日本人学生のレジデント・アシスタント(以下R.A.)が住んでいることが通例だ。R.A.は留学生らが住まう慶大の各寮に数名ずつおり、生活面での疑問に答えたり、イベント企画などを通じて国際交流を図ったりするなどといった役割を果たしている。

元住吉宿舎でR.A.を務める浦谷直斗さん(理工学研究科修士2年)は、留学先での経験から今度は自分が留学生を受け入れる立場になりたいと思い、R.A.に応募したという。他のR.A.とも協力しながら、バーベキューや食事会などの企画を通じ、日々留学生らとの交流を深めている。

浦谷さんは「留学生と共にいることで、自分自身も刺激や新たな観点を得られている。また寮に住むこと、特にR.A.の活動を通じて、多くの友人や仲間を得ることができた」と話した。

元住吉宿舎では、各部屋にバス・トイレ・ミニキッチンが付いているため、大浴場や食堂などがなく共用スペースが比較的少なくなっている。元住吉宿舎を運営する共立メンテナンスの伊藤進一さんは「寮の良さと学生マンションの良さを併せ持った新しいタイプの宿舎です。」と話す。

このような環境の中であっても、留学生のみならず塾生同士の交流も盛んだ。「1階にある共用スペースで皆が談話や勉強をしているのが日常の光景です」と話すのは寮長寮母である小谷さん夫婦。自分の部屋というプライベートな空間を持ちながら、交流の場も得られるのが元住吉宿舎の魅力だという。

寮という場所で先輩や友人ら、また留学生と過ごした経験は思い出深いものとなるはずだ。新しい住まいを探す際には、一人暮らしだけでなく寮という選択肢も加えてみてはいかがだろうか。新たな発見や沢山の出会いが待っているかもしれない。
(榊原里帆)