慶應塾生新聞会 三田オフィス
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夢の車もうすぐ実現 自動走行システム

車に乗り込んでシートベルトを着用する。目的地を入力すれば、あとは 家族や仲間、恋人と談笑したり、本を読んだりと自由な時を過ごせばよい。加速からハンドル操作、ブレーキの全てを自動車自体がコントロールし、目的地まで運んでくれる。

そんな夢のような話が、あと少しで現実のものになろうとしている。日本や米国、欧州では自動走行システムの開発が進められており、今月末にはGoogle社の自動運転車の路上走行テストが実施される。世界は着実に自動走行の時代に突き進んでいるのだ。

2013年における日本の自動車事故死者数は4373人だった。世界で5番目に安全な交通状況だが、政府は2018年までに2500人以下に減らすことを目指している。

この目標を達成するために、安倍内閣のもとでは現在、自動走行システムの開発が進められている。交通事故の減少のみならず、自動走行システムの実現と普及、次世代公共交通システムの実用化も同時に目指す。

未来の自動車 自動走行車とは

そもそも、自動走行システムとは何か。自動走行システムが搭載された車は、センサーで認知した情報を元にどう制御するか判断し、実際に自らを操作する。

また、日本では4つのレベルに自動化の段階が分かれる(表参照)。レベル1は、目の前に障害物が現れた時に自動で制止するような安全運転システムが搭載されたものだ。日本ではこの段階まで実用化されている。続くレベル2は加速や操舵、制動の複数が可能で、レベル3は緊急時にのみドライバーが対応する状態を指す。レベル4に達すると、ドライバーは全く関与せず、全ての動作を自動車自体が行う。

レベル4などはもはや夢物語のように思える。しかし、「実際にレベル4相当の自動車が市中を走り回る状況になるかは別として、技術的には実現可能だ」と内閣府の山本剛司氏は話す。整備されていない道路や雪道での走行など、今はドライバーの技術に頼っている運転が将来的には自動車によって全て対応できる可能性が高い。

事故のリスク 責任は誰が負う

一方、技術が進めば現行法で対応しきれないことも生じてくる。例えば道路交通法の改正が必要となるのは、運転手が全く運転に関与しないレベル4に達した時だ。ほかに、自動車保険や事故が起きた場合の責任が誰にあるのか、免許はどうなるのかといった問題も出てくる。免許に関しては、マニュアルとオートマティックだけでなく、自動走行システム用の追加も考えられる。しかし、いずれにしても現段階で明確に定められているものはなく、全て今後の議論次第だ。

表:自動走行システム移行までの4段階
表:自動走行システム移行までの4段

導入いつから 具体的な目標は

では、一体いつになれば完全自動走行システムは導入されるのか。内閣府の予定としては、2017年以降にレベル2に移行し、2020年代前半にはレベル3、2020年代後半にはレベル4に完全移行する手順となっている。

おそらく私たちが自動走行システムを身近に感じられるようになるのは、2020年の東京オリンピックの時期となる。その頃には東京都内近郊など限定的な地域で、次世代公共交通システムが導入される予定だ。完全自動走行型のバスが市中を走り回り、事故の減少や渋滞緩和のほか、交通に制約のある人でもより容易に乗降できるようになると期待される。

自動車産業は、日本の数ある輸出産業の中でも強みとされている。現在、世界各国で自動走行システムの開発が進められ、自国の技術を世界水準のものとするべく、し烈な競争が行われている。ここで日本のシステムが世界に認められれば、さらなる自動車産業業界の進展が見込まれる。

ただ、技術を高めていくだけでは普及しない。自動運転車と従来の自動車が混在している状況は、多くのドライバーにとって決して容易に受け入れられるものではない。「政府は自動運転車の安全性を積極的にアピールし、国民が安心できるように働きかけていかなければならない」。 (阿久津花奈)