学生団体S.A.L Theatre of PEACE 2nd 映画が表現する世界の問題

映画への思いを語るメンバーたち
映画への思いを語るメンバーたち

今、何したい?その始まりは知ることから

自分のやりたいことって何だろう。今しかできないことって何だろう。勉強?ボランティア?答えは何でも良いかもしれない。しかし、もしそれがわからず途方に暮れているのなら、まず見てほしい映画がある。

先月14日と15日の2日にかけて、学生制作映画の上映会『Theatre of PEACE 2nd』が表参道の東京ウィメンズプラザで開かれた。

主催者は、慶應義塾公認学生団体のS.A.L.だ。国際問題を知り、伝え、考えることを目的とし、主な活動としては、長期休暇を利用して海外の現地の人と交流することや、チャリティーバッグをデザイン・販売して寄付金を集めている。今回の上映会もその一つとして実現した。

今回の上映会では、全部で4つの短編映画が公開された。ドキュメンタリーとしては、東日本大震災を他人事と捉えていた東京の大学生が、福島を訪ねる『大学生だから、』と、キプロス島というリゾート地に潜む、南北分裂に焦点をあてた『having nothing in common』。そして、日本に住むミャンマー難民に焦点をあてた『ひかり』の3編だ。『誰かのレクイエム』は、メディアが伝える世情を他人事と捉えてしまう大学生を描いたフィクション作品だ。

映画の題材はそれぞれ異なるものの、共通しているのは作品内で扱った世界中の問題を「知ってほしい」という強い思いだ。海外や被災地を訪れ、それまで知らなかった問題と出会ったとき、「自分にも何かできないか」という思いが、彼らを動かし映画制作にまで至らせた。

この映画を作ったメンバーたちの中に英語圏出身の帰国子女は少数しかおらず、映像の編集技術を特別に学んだ者もいない。それでも制作の原動力となったのは、「知ってほしいことを、自分の手で伝えたい」という純粋な気持ちだ。

「企画から編集まで、自分の思うように作ることができて楽しかった。技術や質ではプロに負けるけど、ここまでの自由さはない」とは、4作品の監督全員の感想だ。大学生が作る映画だからこそ、マイナーな問題に焦点をあてることや、あえて不謹慎な表現をつかうこともできる。

上映会の来場者は、2日間で合計500人を超えた。映画を見た感想のなかには批判もあったが、今までその問題を知らなかった人に知ってもらえたなら、この上映会は、それがどんな形であっても大成功といえる。「知る」ことがその人の世界を広げ、その後の行動を変えると、彼らは身をもって確信しているからだ。

自分が何をしたいのかわからない。大学生にはよくある悩みだが、そうして学生生活を終えてしまうのはもったいない。見る世界を広げたら、どこかで自分の心を動かすものに出会えるだろう。この4つの映画たちも、そんな出会いの一つになるかもしれない。 (上山理紗子)


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