慶應塾生新聞会 三田オフィス
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研究会入会特集2014

三田での2年間を左右する研究会選びの時期が今年もやってきた。今回本紙では商学部・経済学部・法学部・文学部の4学部6つのゼミを取材し、研究会の雰囲気や入ゼミ試験のポイントなどを伺った。ゼミ選びの参考に少しでもなれば幸いである。
(川瀧研之介、阿久津花奈、増田絢香、遠藤ゆり子、祝井悠花、千葉雄太、岩田なな子)


失敗しないゼミ選びのポイント

2年生の多くが来年度からのゼミについて悩んでいるであろう。ゼミ選びについて全塾ゼミナール委員会入ゼミ統括の櫻田衛さん(商3)は「自分のゼミ選びの軸を作ることが必要だ。またその軸は、さまざまなゼミの話を聞いていく中で、徐々に作っていくとぶれない。早い段階で軸に縛られ、見るゼミを絞ってしまうと、直前に迷ってしまう」と語る。その軸を作るポイントを以下に挙げよう。

まず、そのゼミが扱っている学問領域だ。冊子やHPを見て自分の興味のあるものを絞ってしまいがちだが、多くのゼミに足を運びそれぞれのゼミで何をどのように学んでいるのか直接、教授やゼミ員に聞くと良い。

活動内容は、ゼミによって変わってくる。ゼミ活動に多く見られる輪読やプレゼンもその形式はゼミによって異なる。輪読やプレゼンがどのように実施されているのかまで見ておくとよい。また、論文の有無や個人またはグループで執筆するのか、一つの研究に費やす時間はどれくらいか、ほかのゼミや他大との交流であるインゼミの有無、これらも併せて確認しておこう。塾内外の論文コンテストへの出場、ディベート活動、村おこしのようなフィールドワークに力を入れているゼミもある。

雰囲気もゼミ選びには欠かせない視点だ。これは冊子やHPでは伝わりきらないため、直接オープンゼミで体感すべきだ。ツイッターやブログは雰囲気が伝わりやすいので、見てみるとよい。

さらに、活動頻度は自分の他の活動との両立を考えると重要だ。本ゼミ、サブゼミ以外にもゼミの活動はある。グループワークや論文執筆はゼミの時間外で行うものだ。ゼミ必修、ゼミ推奨科目といった授業があるゼミもある。忙しい時期はゼミによって異なり、個人の能力によっても負担の感じ方は異なるので何人かの先輩から話を聞くとよい。

倍率や就職実績だけでゼミを選んでしまうのはもったいない。歴史が浅いゼミではOB・OGが少なく不安だという声もあるが、特定のゼミに入ることで就職が安泰になるということはなく、結局のところ就職活動は個人戦だ。これらにとらわれない、自分の軸に沿ったゼミ選びが求められる。

自分が学びたい学問を 魅力的な他学部入ゼミ

自分の学部、専攻以外のゼミを検討したことはあるだろうか。他学部、他専攻への入ゼミは制度的に可能であり、受け入れるか否かはそれぞれの研究会の教授に任されている。ゼミ活動に必要な前提知識や人数の枠の問題から受け入れていないところもあるが、多くのゼミが他学部、他専攻の塾生を受け入れている。

他学部のゼミで学ぶメリットは、知見が広がることだ。これまでの2年間で学んできた学問と異なる学問を学ぶことで、新しいモノの考え方を身に付けることができる。学んでいる学問内容が普段の思考にも影響を与えることがあるので、大学生活で多様な学問に触れておくことはよい経験になるはずだ。さらに、同じ事例でも学問によって解釈の仕方が異なるため、今まで学んできた学問を活かして、より多様な視点から物事を捉えられるだろう。

他学部入ゼミというと敷居が高いと感じ不安になる人も多いのではないか。たしかに、前提知識の不足や単位の問題、文学部の社会学専攻、人間科学専攻では自分の専攻のゼミに入らない代わりに卒業試験が課されるなど難点はある。しかし、前提知識不足については「自分が本当にやりたい学問ならば、努力によって前提知識の差はすぐに埋まる。それで埋まらないような前提知識が必要なゼミはそもそも他学部、他専攻の学生を受け入れていない。不安なことがあれば教授に相談してみるとよい。

他学部、他専攻ゼミへの入ゼミ活動においては情報不足が懸念されるが、全塾ゼミナール委員会を通じて積極的な情報収集を心掛けたい。

また、ダブルゼミを考えている人は、「非常に忙しいゼミの掛け持ちは負担が大きくなるが、中にはトリプルゼミをしている人もいる。先輩や教授に相談してみるとよい。 他学部、他専攻のゼミを視野に入れることで、学部や専攻にとらわれることなく、本当に自分に合ったゼミを選ぶことができる。櫻田さんは「色々な人の話を聞き、自分に合っているゼミを探し、それがたとえ他学部であっても躊躇せず、本気でそのゼミを目指して頑張ってほしい」と語った。


商学部 金子隆研究会

■研究内容 企業金融論(コーポレート・ファイナンス)

■最大の特徴は。
現実のファイナンスに関する諸問題を経済学や統計学の分析道具を用いて考察しています。その際、新聞等で目にするトピックスについて、単に表面的な知識を得るのではなく、常に「なぜ?」という形で問題を提起し、仮説を立てて検証するという作業に力を入れています。それにより、論理立てて物事を説明する力が身につきます。先生は今年から学部長に就任され、さらなるご活躍の中、ゼミ員に細やかな指導をしてくれます。

■ゼミの雰囲気は。
サークルや部活と両立することができます。ゼミ員でお互いを支え合いながら楽しく学んでいます。ソフトボール大会の参加率は高く、春には予選突破を果たしました。

■入ゼミ試験の内容・ポイントは。
成績、面接、課題レポートにより総合的に評価されます。成績は経済学関係、数学・統計学、英語などを重視します。面接は先生と4年生で行います。課題レポートは、新聞に取り上げられている金融問題について、参考文献による検証や統計資料の作成を通して、経済的観点から考察することを求めます。日頃から、新聞を読んで自分で考える力を身につけておくと、入ゼミ試験の対策にもなるでしょう。

■2年生へのメッセージ
ゼミは、3・4年生の生活の中心になります。いろいろなゼミを見て、ゼミの雰囲気や研究内容が自分に合っているかなどを考えて、ゼミを選ぶことをおすすめします。
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法学部法律学科 フィリップオステン研究会

■研究内容 国際刑事法。

■ゼミの特徴は。
日本で最初、ほぼ唯一の国際刑事法ゼミです。法学部法律学科では珍しく外国籍の先生によるゼミということもあり、先生と学生の距離は大変近いです。もちろん授業は日本語で行われますが、扱う内容の性質から帰国子女が多いことも特徴の一つです。

■ゼミの形式は。
まず4人一組の班でレジュメを作成し、授業内で発表、その後全員でディスカッションをして補足のレジュメをつくります。月に2、3組が発表し、サブゼミはありません。

■ゼミの雰囲気は。
モットーはスタディーハード・プレイハード。授業用レジュメは20枚に及ぶなど真面目に勉強する一方、遊びとなればとことん楽しむ、和気あいあいとした雰囲気です。

■入ゼミ試験の内容・ポイントは。
入会調書と面接で決定します。前者は経歴や日吉時代の活動を書き、後者は先生とゼミ生により20分程行います。

■イベント
年に2、3回の合宿とソフトボール大会に加え、月1回程度でゼミ生がイベントを企画しています。先月は先生を交えてハロウィンパーティーをしました。

■求めるゼミ生とは。
なにより勉強する意欲のある方。他の活動とも両立可能なので、自分の限界に積極的に挑戦し、何事にも全力投球できる方を求めます。また、国際問題に関心があり、新しい法分野を開拓する意思のある方も歓迎です。
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文学部 近森高明研究会

■研究内容 都市社会学・文化社会学

■最大の特徴は。
文学部で都市を主な研究対象に置いているゼミと言えばここ、という研究会の内外における共通認識があります。他の社会学のゼミと比べて、研究テーマ設定に多様性があり、たとえ砕けたテーマでも社会学に関わっていれば、必ずしも都市や文化にまつわるものでなくても構いません。

■ゼミの雰囲気は。
締め切りなどはきちんと設定する一方で、心にゆとりを持ち融通が利くなど、柔軟性に富んだ学生が多いです。人数が多い分だけディスカッションなども充実しており、特定の人ばかりが発言するようなことは少ないです。また、さまざまな視野を持った人が多く、いろいろな視点から見てもらえることで踏み込んだ議論ができ、毎回新しい発見があります。

■入ゼミ試験の内容・ポイントは。
2千字の研究計画書と、ゼミ生および教員による面接から総合的に判断します。計画書は、独創性・労力・論理性・社会学的センスの4つを中心に採点されます。
計画書をゼミの先輩に推敲してもらうことは、有効な対策の一つでしょう。計画書について、先生から面接で「面白い」と言われる内容がどのようなものかを一番把握しているからです。

■2年生へのメッセージ
いろいろな街や文化に触れてきたなど、他人とは異なる経験を持つ人には視野が広い人が多く、またそうした人はきっとこのゼミを盛り上げてくれるとも思います。
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商学部 高橋郁夫研究会

■研究内容 マーケティング・消費者行動論

■最大の特徴は。
最新の文献を読み解き、またケースメソッドなどを行うことで、学術的なことと実務的なことをバランスよく学んでいます。三田祭論文は全員で1本書くのですが、これも他のゼミにはないことだと思います。また、 産学協同プロジェクトに参加し、企業から掲示された課題に取り組むといった活動もしています。OB・OG会活動も盛んで、縦と横のつながりが強いゼミであるともいえます。

■ゼミの雰囲気は。
個性豊かな仲間と共に楽しく過ごしています。オンとオフがはっきりしており、どちらにも全力を尽くしています。また、ソフトボール大会などにも積極的に参加しています。

■入ゼミ試験の内容・ポイントは。
例年、数学と英語の基礎学力テスト、先生および院生との面接、グループディスカッションの結果を総合的に判断しています。準備としては、エントリーシートに書く内容について熟考することをおすすめします。

■2年生へのメッセージ
後悔のないよう、オープンゼミなどに積極的に参加し、いろいろなゼミを見てください。 これからしたいこと、なりたい人物像をよく考えて、自分の軸がぶれないように、ゼミを選ぶとよいと思います。
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法学部政治学科 細谷雄一研究会

■研究内容 西洋外交史

■最大の特徴は。
毎週1冊本を読み、その内容を元にディスカッションをします。他にも元外交官や外務省に勤務されている方、国際政治の研究者をお招きして、講演会を開いたりもします。2週間に一度の頻度で開催されるので、自分から知識を得たい人にとって、機会は豊富に用意されています。また、年に一度、慶大、一橋大、同志社大、京大の国際関係のゼミと合同ゼミを開催するのも、魅力の一つです。

■ゼミの雰囲気は。
ゼミ生が約30人と多いため、多様性があります。バックグラウンドも人によって異なり、他学部の人も4年生は3人、3年生は5人と多めです。また、留学する人が比較的多く、教授自身も海外で学ぶことを勧めています。

■入ゼミ試験の内容・ポイントは。
試験の内容としては、課題図書についての書評が5千字、今までに印象に残った本についてのエッセイが5千字、そして自己紹介兼志望動機が3千字とかなり多いです。印象に残った本に関しては、入ゼミ試験に合格した人に聞いたところ、学術書だけでなく、小説を選んだ人もいます。自分を表現できるものを書けると良いでしょう。課題にはこつこつ取り組むことが大切です。

■2年生へのメッセージ
倍率のことは気にしないで、とにかく自分が楽しめると思うゼミにトライしてください。やらない後悔よりもやった後悔です。来年の4月、多様な個性を持った皆さんにお会いできるのを今から楽しみにしております。
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経済学部 山田篤裕研究会

■研究内容社会政策(=社会問題解決のための政策:社会保障・労働政策)

■研究会の特徴
失業、傷病、障害、死亡など、人々の生活が困難に陥る理由は様々です。こうした社会問題を解決する手段が、社会政策(年金・医療・生活保護などの社会保障と、労働基準・最低賃金・労災・雇用保険などの労働政策の総称)です。社会保障は、国民所得の3分の1、一般歳出の半分(公共事業の6倍)を占め、所得再分配を直接決め、労働政策は働き方に直接影響を及ぼします。研究会では社会政策が有効に機能しているか、データを用いた政策分析手法を1から学びます。3年時は少人数の班で、三田祭・ISFJ論文コンテストに向け研究しています。4年時は卒論が中心です。

■研究会の雰囲気
教授がとても熱心にゼミ員と接してくれるため、この分野に関する興味と熱意さえあれば、誰でも実証的な政策分析ができるようになります。また、ゼミ員の距離も近く、何時でも仲間や先輩に相談出来る環境が整っています。その結果、ISFJ論文コンテストで過去何度も受賞しています。

■入ゼミ試験の内容と対策
小論、面接で評価します。昨年度の小論は、3冊の課題図書を精読した上で研究テーマについて論じなさいという課題でした。面接は、教授との小論内容に関する質疑応答です(事前の学生面接等による足切はありません)。成績提出もありますが参考程度で、試験一発勝負でなく、テーマに関ししっかり調べ、じっくり小論に取り組める方に向いています。

■二年生へのメッセージ
社会問題に何となく関心のある人から、研究者・ジャーナリスト・公務員など、この政策分野での活躍を志す人まで幅広く歓迎します。ただし研究には根気・地道な努力が必要です。