世界で活躍する人材を育成

環境情報学部で2011年9月に始まったGIGAプログラム(Global Information and Governance Academic Program)が、来年9月から総合政策学部でも始まることがわかった。このプログラムを履修する学生は、卒業に必要な単位を英語で実施される授業のみで修得することができる。SFCのさらなる国際化を進めるため、世界中から優秀な留学生を獲得することを目的としたプログラムだ。 (柳井あおい)

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GIGAプログラムは2011年から環境情報学部で導入され、今年9月には26人の学生がこのプログラムで入学している。SFCで2014年度に開講されている約580科目のうち英語で実施されている65科目をGIGAプログラムの科目として指定。プログラムの履修者はこれらの科目の単位を取ることで卒業に必要な124単位を取得できる仕組みだ。

今回、総合政策学部にGIGAプログラムが拡大されることで、GIGAi(インフォメーション)とGIGAg(ガバナンス)の2種類の授業が展開される。それぞれの授業は、環境情報学部、総合政策学部が提供し、一定数の単位を修得することでGIGAサーティフィケートが授与される。さらに、これまでサーティフィケートは卒業時に授与されていたが、卒業前に認定されるようになる。これによって就職活動等にも活かすことができる。

SFCでの学問内容を英語で学ぶことができる点がGIGAプログラムの特徴だ。授業は一般の学生にも公開されており、日本人学生が履修することもできる。また、GIGAプログラムで入学した学生が日本語で行われる授業をとることも可能だ。

環境情報学部で先にプログラムが始まった理由として、政策や理論を主に学ぶ総合政策学部と比べて、情報分野を扱う環境情報学部の方が、学術用語を英語にしやすかったことが挙げられる。これまでの成果として環境情報学部の萩野達也氏は「今までは日本語が話せないとキャンパスに来られなかったが、英語のみで授業が受けられるGIGAプログラムによって留学生が増えた」と話す。当初は20人程度の応募だったが、今年は100人程度の応募があったという。

入学時の選考には海外の学生が受けやすいように書類審査と自己PRのビデオが用いられている。また、世界に向けてこのプログラムを宣伝するためにアジアやアメリカなどの約130の高校で説明会を開くなどの広報活動を行ってきた。

来年の9月にはGIGAプログラムによる最初の卒業生が誕生する。GIGAプログラム1期生生の多くは大学院に進学予定であるが、必要に応じて就職支援等をしていく。

総合政策学部長の河添健氏は「留学生のためのGIGAプログラムは総合政策学部にも拡大することで、日本人へのGIGAプログラムに、全学生に適応するものとなる。どこでも世界へと出ていき活躍できる人材の育成に効果をもたらすだろう」と期待される効果について語った。

授業の英語化進むSFC 目標は25%

GIGAプログラムが拡充されることで、SFCにおける英語の授業の比率が高まることが予想される。GIGAプログラムの導入を進めてきた萩野教授に、SFCの授業の英語化や今後の国際化の方向性について聞いた。

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―英語で開講されている授業は現在何科目あるのか。また、目標数値はあるか
▼2014年度は580科目のうち、65科目が英語で開講されている。今後、講義全体の約25%にあたる100科目を英語で開講することを目指している。

―グローバルな大学を目指すにあたり、授業の英語化をどのように進めていくか
▼一口に英語化といっても、学生にとっても先生にとっても大変なことだ。お互いに協力しあって授業を英語化していく必要がある。そのためには学生の意識も変えなければならない。現在、語学が苦手な学生が語学を避けて卒業してしまうことがある。2014年のカリキュラム改訂で環境情報学部においても語学を必修にするなど、大学側が学生に働きかけるような見直しをするようになった。

―グローバル化における、SFCの先駆性とは
▼制度が固まっておらず、フレキシブルで身軽に動きやすいため、SFCは新しい試みをすぐに実行することができる。固定概念は持たず、改革を進めていきたい。