ついにここまできた。明大戦が終了した時点での優勝条件は「早大が立大から勝ち点を奪い、明大が2勝1敗で立大から勝ち点を奪い、慶大が早慶戦連勝」と気が遠くなるようなものだったが、残すは宿敵早大に連勝するのみとなった。現時点で慶大・早大・明大に優勝の可能性が残っているが、慶大の春秋連覇となれば1991年以来、実に23年ぶりの快挙となる。

加藤拓の右腕に期待がかかる。
加藤拓の右腕に期待がかかる。

慶大の逆転優勝には早大に連勝するしかない。まずは1日の第1戦に勝利することが絶対条件となる。第1戦のマウンドは間違いなくエース加藤拓(政2)に託すだろう。今季の加藤拓はここまで6試合(4先発)に登板し、2勝2敗ながらも防御率2.27と昨季のリーグ最優秀防御率の名に恥じない投球内容だ。春の早大戦でも9回1失点完投勝利を挙げており、最速152キロの速球を軸としたパワーピッチングがはまれば今回もそう簡単に打たれることはないだろう。

2戦目の先発は三宮(商3)が予想される。昨季は主に救援での登板機会が多かった三宮だが、今季は登板した5試合全てで先発。明大との大一番では第2戦、3戦に連日先発し、2勝を挙げる大活躍でチームの窮地を救った。春の早慶戦では2回4失点と打ち込まれたが、期するものがあるはずだ。

復調が待たれる竹内惇
復調が待たれる竹内惇

一方で打線は不安材料だ。春はチーム打率.270、1試合平均5得点を挙げていたが、今季はそれぞれ打率.239、1試合平均4.3得点まで落としている。横尾(総3)、藤本知(環4)が打率3割超えと好調な反面、昨季のリーグベストナインに選ばれた竹内惇(商4)や主将佐藤旭(商4)の快音が響かないのは気がかり。特に春の早慶戦2試合で第1戦の逆転2ランHRを含む7打数5安打と大暴れし、連勝の原動力となった竹内惇の復調に期待だ。

 

 

 

 

早大は慶大と対照的に打線が好調。チーム打率.283、1試合平均5.4得点はいずれもリーグトップの成績だ。昨季の首位打者・本塁打王の武藤が不調ながらも、上位打線の小野田・重信・河原がそろって絶好調。加えて規定打席未満ながら打率.458と当たっている茂木、ロッテからドラフト1位指名を受けた中村も並ぶ打線は脅威だ。慶大としては早大の上位打線をいかに抑えるか、がポイントとなりそうだ。

しかしながら早大投手陣はこれまた慶大と対照的な状況となっている。エース加藤拓がフル稼働している慶大とは反対に、早大は日本ハムからドラフト1位指名を受けた絶対的エースの有原が今季まだ2試合しか登板できていない。有原は立大第1戦でようやく今季初先発も6回7安打4失点とらしくないピッチングに終わっている。エースの状態が不安視されるが、早大も連勝が逆転優勝の条件だ。第1戦はおそらく有原にマウンドを託してくるだろう。

今季急成長を遂げ、2戦目の先発を任される可能性が高いのが1年生左腕の大竹。7試合(6先発)で4勝1敗、防御率2.06と好投を続けている。有原が不在の中、早大が優勝争いを続けている要因の1つとして大竹の台頭は間違いなく挙がるだろう。しかしながらその大竹もQS(クオリティースタート、先発投手が6回以上3自責点以内)が6先発中3回と春の有原ほど抜群の安定感を誇るわけではなく、慶大が付け入る隙はあるだろう。

2季連続で優勝のかかった早慶戦という最高の舞台。最後に笑うのは、誰だ。 (上井颯斗)

 

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両チーム成績比較
投手成績

防御率奪三振率与四死球率WHIP
QS率
慶大2.185.333.701.1067%
早大3.446.894.331.3233%

打撃成績

平均得点本塁打打率出塁率長打率OPS
慶大4.339.239.311.379.690
早大5.446.283.350.408.758