【喊声】11月号

 アルバイト先のレストランでの話だ。その日、19時をまわっても一向に客足は増えず、どうにも手持ち無沙汰だったので、仕方無く売店棚を整理することにした

▼「このところ、客入りが悪いな」。そう思うと同時に、外食産業最大手である某社の経営再建ニュースが脳裏を過ぎった。売店のおもちゃを片手に経済の深刻さを実感するという、なんとも間抜けな瞬間だった

▼近頃の世界経済が、1929年の世界恐慌に匹敵する混乱を見せていることは知っている。だが前述の通り、実際の私の日常は非常に呑気なものだ。ともなると、自分が本当にこの経済状況を「知っている」と言えるのか自問してしまうのだ。それは結局、無知と同意ではなかろうか

▼知と無知の境界は意外と曖昧である。社会で磨き上げられた知を前にすると、ときに自分の知がくすんで見える。ペンは剣よりも強いかもしれないが、経験による裏づけの無い知は、知ったかぶりとまでは言わないにしても、諸刃のペンだ

▼しかし、それが無力を意味するわけでは決してない。不完全さこそがエネルギー源ともなろう。無知を貫く子供たちの地団駄が、売店前で今日も日本経済を励ましている。

(谷田貝友貴)


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