数ある慶大学生寮のなかでも「国際色豊かな学生寮」として知られている寮がある。JR蒲田駅から徒歩15分ほどのところにある「大森学生寮」だ。2009年春にオープンし、今年で6年目になるこの寮は、全国各地からの新入生のほか、海外からの留学生も集まる。さまざまな国籍の寮生が「国を超えた」交流のなかで互いに協力して生活を送っているという。

今回は、そんな大森学生寮で生活している留学生のソ・ウンジェさん(法学研究科3年)とスー・イーペイさん(別科・日本語研修課程)に話を伺った。

まず、「大森学生寮の魅力」を伺ったところ、ソ・ウンジェさんは「食事、お風呂が充実しているなど生活環境が整っていて、不自由なく生活できる」ことだという。韓国出身のソさんは入寮して今年で3年目。日本に来たばかりのころは、戸惑うことも多かったようだ。慣れない環境のなかでも、安心して生活を始められるのは留学生だけでなく、春から上京した新入生にとっても魅力的だ。

また別科で日本語を学ぶアメリカ出身のスー・イーペイさんは寮の「安全性」を第一に挙げた。寮は完全オートロック。寮長夫妻も住みこみで学生を支援している。アメリカでの寮生活の経験もあるスーさんは、「誰でも出入り可能なアメリカの寮とは違って、この寮は、安全面はもとより学生が快適に勉学に励めるよう配慮されている」と語る。

国際色豊かな特徴から、大森学生寮ならではのメリットもある。語学をはじめ、試験やレポートの準備で分からない点があっても、すぐに寮の友人に相談できたり、生活のなかで自分の語学力に磨きをかけたりと一般の学生にとってはなかなか得られない利点があるそうだ。日々の生活の中で、仲間とお互いに成長できる環境が常に存在している。

さらに、大森学生寮を選んだ理由を尋ねると、2人とも、「大学に近い」というアクセスの利便性を強調した。確かに三田と日吉の中間に位置する好立地。両キャンパスに通いやすいため、進級して通うキャンパスが変わっても通学に困ることはない。

大森学生寮の総定員は127名で、現在は110名が在籍し、日本を含めてアメリカ、中国など寮生の国籍は2014年1月21日現在計6ヶ国になるという。最大で寮生の国籍の合計が14ヶ国にまで上った年もあったそうだ。

近年、一人暮らしを対象とした学生マンションも主流になってきている。しかし留学生も安心して生活でき、さらには「日常のなかで」スキルアップできる「大森学生寮」という選択肢もひとつある。 (八島卓也)